2021年12月01日号
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artscapeレビュー

喜多村みか/渡邊有紀「TWO SIGHT PAST」

2011年02月15日号

会期:2011/01/07~2011/02/21

GALLERY at lammfromm[東京都]

喜多村みかと渡邊有紀は、東京工芸大学在学中の9年前から、互いにポートレートを撮り合うという「TWO SIGHT PAST」のプロジェクトを進めている。2006年には「写真新世紀」で優秀賞(飯沢耕太郎選)を受賞したが、それから各自の仕事が忙しくなったこともあって、しばらくこのシリーズは休止状態にあった。ところが、2009年にハンガリー・ブダペストのギャラリーで二人の展示があったのをきっかけにして、旅先でふたたびポートレートが撮影された。それをまとめたのが今回の二人展である。
二人の写真家が長期にわたってポートレートを撮影し合うという作品は、僕が知る限りナン・ゴールディンとデイヴィッド・アームストロングの『A Double Life』(1994)を唯一の例外として、ほとんどないのではないかと思う。ただ『A Double Life』は、ゴールディンが35ミリカメラのカラー、アームストロングは6×6判のモノクロームで撮影していてかなり作風に違いがある。だが喜多村と渡邊の場合は、ほとんど同じ撮り方なのであまり見た目の区別はつかない。また、ドラマチックな場面よりは、日々の出来事をあまり肩に力を入れないで撮影しているので、むしろ彼女たちの方が繊細な感情の交流や反応をしっかりと定着しているようにも見える。このシリーズがどれくらい長く続くのかはわからないが、仮に10年、20年と続いていけば、年齢や経験の積み重ねによってさらに味わいが深まってくるのではないだろうか。

2011/01/08(土)(飯沢耕太郎)

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