artscapeレビュー
中川あずさ──遠い国
2011年02月15日号
会期:2011/01/18~2011/01/23
アートスペース虹[京都府]
作家は成安造形大学洋画クラスの研究生。花柄やストライプ模様など、寄せ集めた複数のスカーフを撮影した写真をもとに描いたという一連の作品が展示されていた。自身の夢やあこがれ、理想などを薄いスカーフの脆弱なイメージに重ねているのだが、布の襞や光沢のある柔らかい質感の描写が丁寧で美しく、繊細な感覚を思わせる趣きが感じられた。技術的にはまだ向上の可能性もうかがえるが、近づいたり離れたり、角度や距離を変えると色彩の印象もまた変化して見える、表情豊かな作品。今回が初個展だったそうだが、堂々とした佇まいと繊細な感覚のギャップも記憶に残る展示だった。
2011/01/23(日)(酒井千穂)