artscapeレビュー
建築家 白井晟一 精神と空間
2011年02月15日号
会期:2011/01/08~2011/03/27
パナソニック電工 汐留ミュージアム[東京都]
初期の住宅から、銀行、公共施設、美術館まで、彼の軌跡をたどる回顧展である。とりわけ原爆堂計画の驚愕すべき手描きの表現に驚きつつ、ドローイングに萌えることができた時代の美しい図面に感心させられた。その一方で、やはり通常の建築模型では、ほとんど白井の魅力が表現されないことがよくわかる。なるほど、模型が重要になり、CGによって図面が均質化された、現在の建築の流行とは確かに真逆といえるだろう。いわゆる構成ではなく、表面の素材や装飾など、空間のひだが重要なのだろう。冒頭に編集者だった川添登が白井から受けとった50年前の生原稿が展示されたり、展示の区切りごとに、白井のテキストが抜粋されるなど、改めて白井の神話作用についても考えさせられた。
2011/01/22(土)(五十嵐太郎)
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