2021年12月01日号
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artscapeレビュー

森村泰昌 展:なにものかへのレクイエム──戦場の頂上の芸術

2011年02月15日号

会期:2011/01/18~2011/04/10

兵庫県立美術館[兵庫県]

昨年12月にも訪れたのだが、小企画の「『その他』のチカラ。森村泰昌の小宇宙」をゆっくり見れなかったため再び訪問。戦争を挟んだ動乱の時代を生きた20世紀の男たちをテーマにした本展は広島市現代美術館の開催時にも足を運んだのだが、一度目は見落としていた作品の細部にも注意を払いながら鑑賞し咀嚼できる機会となったのがありがたい。また、会場自体が異なるので当然かもしれないが、1度目と2度目では印象や感想がやや違う作品があった。映画『独裁者』にもとづき、ヒトラー=ヒンケル(チャップリン)に扮した森村が21世紀の独裁者について語る作品や、日雇い労働者の集まる大阪の釜ヶ崎の壇上で演説するレーニンの映像など、そこに登場するシンボリックなアイテムやさまざまなイメージのアレゴリーについてもひとつずつ考える余裕があり、作品細部へのこだわりも見えてくる。 会場は、三島に扮し現代の芸術を憂い決起する映像作品など、60~70年代の報道写真をもとに思想がぶつかりあった時代を作品化した第一章から、戦争終結の1945年に焦点を当てた第四章までの構成で、最後の映像作品では20世紀はどのような時代であったのかを鑑賞者それぞれに問いかける映像作品で締めくくられる。本展はこれまで各地の美術館で開催されているが地元関西では12年ぶりの森村の個展。貴重な機会である。

2011/01/22(土)(酒井千穂)

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