artscapeレビュー

池田学 展「焦点」

2011年02月15日号

会期:2010/12/08~2011/01/15

ミヅマアートギャラリー[東京都]

今回は大作の1点勝負ではなく、22×27センチという同サイズの小品20点を出している。しんしんと降り積もる雪の一粒一粒がドクロになっていたり、うねる高波の波頭が険しい山脈に変わっていたり、巨大なヘビが電車を飲み込んでいたり、どれもミクロとマクロ、自然と人工、生と死といった対立するイメージが複合された見事な細密画。大作の場合どの部分を拡大してもピントが合ってるという驚きがあったが、これはその驚きと楽しみを20に分割した感じだろうか。タイトルの「焦点」にはそんな意味もこめられているのだろう。しかしコストパフォーマンスを考えれば、大作1点つくって売れ残るより、小品をたくさんつくって少しでも売ったほうが安全という計算も働いているのではないか、とも思ったが、いや失礼、人気作家の池田学にはそんな心配は無用だった。今回は1点50万円(+税)で、すでに完売しているのだ。ワオ!

2011/01/14(金)(村田真)

2011年02月15日号の
artscapeレビュー