2021年12月01日号
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artscapeレビュー

ホキ美術館開館記念特別展

2011年02月15日号

会期:2010/11/03~2011/05/22

ホキ美術館(設計:日建設計)[千葉県]

ユニークな絵画コレクションをもつホキ美術館は、東京から決して近い距離ではないが、多くの来場者を集めていた。小さなビルバオ・グッゲンハイム美術館というべき、インパクトのある張り出した展示室と彫刻的な造形は、住宅街の横にあって目立っていた。このかたちは、まわりのカーブする道路も抱え込むように、くねるチューブの集合体としてヴォリュームを構成しており、コンテクスチュアリズム的な操作から導かれたものだ。外観だけではない。室内では、天井の銀河のように見えるLEDの小さな照明群、マグネットによる絵画の設置、音声ガイドのシステム、ガラスの袖壁で仕切られた真黒のコンペ・ルームなど、展示デザインにも新しい工夫が散見される。
ところで、ホキは、日本初の写実専門絵画の美術館というだけあって、いかにこうした作品が、いわゆる「現代アート」から疎外されているかが、改めてよくわかる内容だった。やはり、現代アートとの客層も違う。作品の抽象的なコンセプトではなく、誰にでも驚くことができる写実の技巧と、共感しやすい描かれたモチーフへの物語的な想像可能性によって、一般の観客を魅了している。また個別に見ていくと、森本草介や中山忠彦など、それぞれに異なる画風や世代の違いなども楽しむことができた。

2011/01/14(金)(五十嵐太郎)

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