2022年07月01日号
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artscapeレビュー

京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程展 第二期 五十嵐英之/馬場晋作/柳澤顕

2011年02月15日号

会期:2011/01/15~2011/01/30

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA[京都府]

京都市立芸術大学大学院博士課程展の二期展。油画領域の馬場晋作、柳澤顕、昨年Mori Yu Galleryで個展を開催していたのも記憶に新しい版画領域の五十嵐英之の三名。特に興味深かったのが馬場の作品。板状のステンレスに油彩やインクでレースや木などを描いていた。レースというモチーフ自体が半透明なのだが、ステンレスとレースのあいだ(?)に半透明の模様が施されているものもある。重なる模様の層を見るために作品正面に立つと、鏡面であるステンレスに自分の姿が映り込み、一瞬視界が交錯して 私はなにを見たいのか、意識が散漫になる感覚に陥る。また、ある作品では反対側の壁面に展示された作品も写り込むため、まさにミラーハウスの中のようにいっそう意識が攪乱される気分。角度を変えたり離れたりしてそこに描かれたものを見つめるが、微妙に角度がズレるとまた私の視線は鏡面に映る私の視線や空間の像にぶつかってしまう。虚実両方の世界を彷徨うような作品だが自己と他者との境界や距離について思いを巡らせる。柳澤はコンピュータで描いた線や幾何学的な形態、ドットなどを布にプリントしたりアクリル板に着彩したカッティングシートで構成した作品をスペースの壁面全体にダイナミックに展開。五十嵐は、2階のスペースで油彩画を発表していた。五十嵐は作家としての活動歴も長くその手法も多彩な人だが、他の二人の表現の模索や試みはまた新鮮で興味深い。今後の活躍にも期待している。

2011/01/29(土)(酒井千穂)

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