2021年12月01日号
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artscapeレビュー

秦雅則/エグチマサル「写真/物質としての可能性」

2011年02月15日号

会期:2011/01/25~2011/01/30

企画ギャラリー・明るい部屋[東京都]

2009年4月にスタートした企画ギャラリー・明るい部屋の活動期間は、あらかじめ2年間ということになっているので、だいぶ終わりが近づいてきた。今回は中心メンバーのひとりの秦雅則と、何度か明るい部屋で個展や二人展を開催しているエグチマサルによる意欲的な展示である。
秦とエグチは2010年8月8日から2011年1月24日まで、写真作品のデータをインターネットでやり取りしながら、加工・改変していく作業を続けた。秦がつくった作品にエグチが変更を加え、それをまた秦に送り返す。画像の一部をかなりはっきりと活かしている作品もあれば、まったく別の画像につくり変えてしまう場合もある。そのやり取りのプロセスが、そのまま228枚の作品(壁に214枚、テーブル上に最終日に制作された作品が14枚)としてギャラリーに展示されていた。作品の一枚一枚の変幻の様子も興味深いが、それよりもプロセス全体が一挙に見えてくることに注目すべきだろう。デジタル化以降の、不安定で流動的な写真画像の「物質としての可能性」を、しっかりと確認していこうというユニークなアイディアの企画といえる。
なお、現代美術系のウェブサイトFFLLAATT(http://ffllaatt.com)では、同時期に秦雅則とエグチマサルによる「写真/仮想のイメージとしての可能性」展(2011年1月1日~2月28日)が開催されている。彼らの作品から42枚をシャッフルして取り出し、無記名でウェブ上にアップするという試みである。画像は自由にダウンロードすることができる。このような「写真の物質的価値をまったく無視する」展示をぬけぬけと並行してやってしまうあたりが、なかなか頼もしい。今のところはまだ試行錯誤の段階だが、こういう実験から何かが芽生えてきそうな気がする。

2011/01/25(火)(飯沢耕太郎)

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