artscapeレビュー
2013年09月15日号のレビュー/プレビュー
あいちトリエンナーレ連携シンポジウム──テーマ「縄文・東北・環境汚染─3.11以降の美術」
会期:2013/08/16
三内丸山遺跡 竪穴式住居[青森県]
あいちトリエンナーレ連携シンポジウム「縄文・東北・環境汚染─3.11以後の美術」に登壇する。青森県立美術館の飯田高誉さん、いわき市立美術館館長の佐々木吉晴さん、司会の池田亨さんらと、震災後の美術状況をめぐって語る。会場が普通の部屋ではなく、三内丸山遺跡の竪穴式住居なのが、最大のインパクトだった。いわき市立美術館では、コレクションに被害が出たほか、放射線や余震を理由に、幾つかの展覧会がキャンセルとなり、代わって地元のアーティストによる展覧会の企画を立ち上げたという。青森県立美術館とあいちトリエンナーレは、奈良美智、杉戸洋、青木淳、藤村龍至、藤森照信など、双方に所縁のある作家がいることから、こうした連携プログラムが実現した。
2013/08/16(金)(五十嵐太郎)
あいちトリエンナーレ2013 パブリックプログラム「あいちトリエンナーレを支える名古屋のデザイン力」公開トークイベント
会期:2013/08/17
ナディアパーク・アトリウム[愛知県]
青森から名古屋へ。ナディアパークで開催された「あいちトリエンナーレを支える名古屋のデザイン力」に登壇する。今回のあいちトリエンナーレで力を入れたデザイン・アイデンティティの創出にどう取り組んだかがテーマだ。国際デザインセンターの江坂恵里子さんの司会で、五十嵐は今回の新機軸、公式デザイナーの廣村正彰さんは今回のロゴとデザイン規定、名古屋チームの平井秀和さんはそれに遊び心を加える試み、藤本康一さんはロゴの形から展開した方向性を語る。
2013/08/17(土)(五十嵐太郎)
瀬戸内国際芸術祭2013丹下健三生誕100周年プロジェクト「丹下健三 伝統と創造 瀬戸内から世界へ」展
会期:2013/07/20~2013/09/23
香川県立ミュージアム[香川県]
名古屋から高松へ。香川県立ミュージアムの「丹下健三 伝統から創造へ 瀬戸内から世界へ」展を見る。丹下が高校生のときに感化されたル・コルビュジエのソビエトパレスから始まり、卒計、広島の計画、そして香川県庁舎を含む瀬戸内の仕事を図面や精巧な模型で伝える。そして最後は同時代の瀬戸内建築や現代も紹介する内容だった。これでようやく丹下の没後に大きな展覧会が開催されたことになる。
2013/08/18(日)(五十嵐太郎)
丹下健三生誕100周年プロジェクト「丹下健三 瀬戸内から世界へ」2日目[第1部]丹下健三とは誰か[第2部]瀬戸内から世界へ
会期:2013/08/18
日本最大(?)の小ホール(800人収容!)で開催された香川県民ホールでシンポジウムの第一部「丹下健三とは誰か」は、松隈洋さんが司会、丹下のもとにいた槇文彦さんと谷口吉生さん、藤森照信さん、豊川斎赫さんが語る。海外でのふるまい、過去にこだわらないこと、対立する要素の止揚など、人間としての丹下に迫る内容だった。続く第2部の「瀬戸内から世界へ」では、五十嵐が司会、伊東豊雄さん、藤本壮介さん、松隈さん、北川フラムさんがスコープを広げて語る。近代以降の重文建築の多くが瀬戸内に集中していること、国家の枠組を逃れ、地域と世界につながる仕事の環境、重層的に建築が残っていることなどが指摘された。
2013/08/18(日)(五十嵐太郎)
瀬戸内国際芸術祭2013 アートと島を巡る瀬戸内海の四季
会期:2013/07/20~2013/09/01
瀬戸内海の12の島+高松・宇野[香川県、岡山県]
ちょうど瀬戸内国際芸術祭が開催されていることから、豊島に渡って、横尾忠則+永山祐子、石上純也などの建築系の作品をめぐる。ベネッセ系の作品は写真NGのようだ。唐櫃浜では、南相馬の仮設ログハウスと彦坂尚嘉による復活の塔、そしてあいちトリエンナーレ2013を紹介する唐櫃美術館に立寄る。次に小豆島では、ヤノベさんの二作品を見てから、若手の小山泰介、建築系のドット・アーキテクツ、島田陽、山崎亮らの作品を訪れた。このエリアはおなじみのメンバーではなく、新しい潮流を感じさせる。また越後妻有もそうだが、文化予算以外の公衆トイレなども作品にできるシステムはうらやましい。
写真上から、横尾忠則+永山祐子、山崎亮、唐櫃美術館、島田陽、彦坂尚嘉《復活の塔》
2013/08/19(月)(五十嵐太郎)