2019年07月01日号
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artscapeレビュー

2011年04月01日号のレビュー/プレビュー

もうひとつの京都──モダニズム建築から見えてくるもの

会期:2011/02/07~2011/05/08

京都工芸繊維大学 美術工芸資料館[京都府]

大きな写真パネルと模型、そして図面が展示場のあちらこちらに置かれている。建築関連の展覧会にありがちな風景だ。模型は模型で実物とは違うし、図面は読めない(これは自分の問題だが)、写真に至ってはとっくに記録媒体としての役割は信じていない。どうしても撮る側の意図が入ってしまうからだ。だから建築の展示が面白いと思ったことはあまりない。それなのに、なぜこの展覧会を紹介しているのか。それは「京都におけるモダニズム建築」という言葉に惹かれたからかもしれない。関東大震災や太平洋戦争の空爆で昔の趣を失ってしまった東京や大阪とは違って、京都にはまだ独特な木造文化の伝統と町並みが残っている。京都という特殊な空間のなかにあらわれたモダニズム建築というものが、どのような姿をしていたのか気になったわけだ。本野精吾邸、聴竹居、京都会館、国立京都国際会館など、1920年代から1970年代までの、古都・京都の中のモダニズム建築を再考する機会である。[金相美]

2011/03/05(土)(SYNK)

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玉本奈々 個展

会期:2011/03/05~2011/03/16

ギャラリー島田[兵庫県]

キャンバスや板の上に、布を張り、糸を縫いつけ、ペインティングを施すなどした平面作品で知られる玉本奈々。その作品は、美醜を超えて人間の生理に訴える生々しさに特徴がある。しかし、本展における彼女の作品は、過去に何度も見たことがある旧作が多数含まれているにもかかわらず、なぜか今までよりも洗練されていた。会場との相性がよほど良いのだろうか。空間により、これほど作品の印象が変わるとは驚きだ。それでいて作品本来の魅力は失われず、より広い層に受け入れられる展示が行なわれていた。私が今までに見た彼女の個展のうち、最上であった。

2011/03/05(土)(小吹隆文)

風穴 もうひとつのコンセプチュアリズム、アジアから

会期:2011/03/08~2011/06/05

国立国際美術館[大阪府]

西洋美術史の文脈とは異なる視点から、現代の日本やアジアで活動するコンセプチュアルな作風のアーティストたちをピックアップした展覧会。1960年代から関西を拠点に活動しているプレイ、ダンスとも喧嘩ともつかないパフォーマンスで知られるcontact Gonzoをはじめ、島袋道浩、木村友紀、ヤン・ヘギュ、ディン・Q・レーら9組の作家が紹介された。どの作品にも、かつてのコンセプチュアル・アートにありがちな上から目線の難解さや近寄り難さは感じられない。むしろわれわれと同じ目線、同じ言葉で語りかけてくるので、スムーズに作品の世界へと入っていけるのだ。担当学芸員は本展を読み解くキーワードとして、スピードの遅さ、ローカリティー、日常との緩やかなつながり、を挙げていた。とても風変わりな企画展だが、本展のような機会が増えれば、現代アート展は今までよりずっと身近なものになるだろう。

2011/03/07(月)(小吹隆文)

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GONZO─ならず者ジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンのすべて─

会期:2011/02/19

新宿シネマート[東京都]

「ニュー・ジャーナリズム」のトム・ウルフによって「ゴンゾ・ジャーナリズム」と称されたハンター・S・トンプソンのドキュメンタリー映画。対象との一定の距離を保ち、客観的な報道を心がける正統的なジャーナリズムとは対照的に、トンプソンが成し遂げたのは対象の只中にみずから没入して内側から記述する方法だった。暴走族に参加したり、保安官の選挙に立候補したり、トンプソンの「ジャーナリスト」らしからぬ履歴は、たしかにおもしろい。ただ、トンプソンについてのドキュメンタリー映画であれば、当然そのようなゴンゾの方法を踏襲するのかと思いきや、ドキュメンタリー映画としてはいたって中庸なところが残念といえば残念だ。疾走するバイクに同伴するかのようなスピード感あふれる編集は近頃のドキュメンタリー映画の定番と化しているし、とくに緩急も抑揚も工夫されていないから、逆に愚鈍な印象を覚えてしまう。むしろ注目したのは、トンプソンが攻撃的に批判の矛先を向けた当人たちがインタビューに応えていたこと。これは、このドキュメンタリー映画の成果というより、むしろアメリカの政治家の懐の深さを物語っているが、ひいては「ジャーナリズム」を育む土壌のちがいをも暗示していた。ゴンゾをおもしろがる風土がやせ細っていくと、おそらく世界はますます退屈になってゆくにちがいない。

2011/03/07(月)(福住廉)

大畑公成 展

会期:2011/03/08~2011/03/13

gallery morning[京都府]

京都造形大を卒業後、長らくウィーン応用美術大学で学び、昨年に帰国した大畑。その作品は、密林を思わせる密度の濃い空間に人や動物を描した、鮮やかで生命力に満ち溢れたものだ。30代までじっくりと研鑽を積んできただけに、まだまだ沢山の引き出しを持っていそう。今後の活躍が楽しみだ。

2011/03/08(火)(小吹隆文)

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