artscapeレビュー

2014年02月15日号のレビュー/プレビュー

sense of nonsense

会期:2014/01/13~2014/01/25

2kw GALLERY[大阪府]

個展やグループ展など、精力的に発表活動を行なっているしまだそうが企画した3人展。一見無骨だが絶妙な彫り具合があちこちに感じられる北浦和也の木彫り作品、マジックペンで描いたストーリー性のある田辺朋宣のドローイング、しまだの荒唐無稽な絵画世界が賑やかに散りばめられた展示だったが、それぞれの表現の持ち味や魅力をバランスの良い展示構成で見せていて、目にも愉しい空間が出来上がっていた。しまだは2月25日より、京都のKUNST ARZTでも個展を開催予定(しまだそう個展「NO PLAN -脳腐乱-」)。こちらも見に行きたい。

2014/01/25(木)(酒井千穂)

シンポジウム「震災後の芸術と環境、東北の未来」

早稲田大学文学部33号館3階第1会議室[東京都]

早稲田大学のシンポジウム「震災後の芸術と環境、東北の未来」に登壇する。第一部の基調講演は、東北学の赤坂憲雄が、岡本太郎による太陽の塔を事例に挙げながら、妄想をキーワードに、無用・無償であるがゆえのアートの可能性を指摘し、震災後に行なわれるみちのくアート巡礼88ヶ所の夢を語る。第二部では、五十嵐が震災後の芸術と建築、あいちトリエンナーレ、相馬千秋が震災後の3回のフェスティバル・トーキョーの内容を紹介した。第三部のディスカッションでは、宗教的なものの可能性が話題になった。

2014/01/26(日)(五十嵐太郎)

トラがぐるぐるまわってバターになる。

会期:2014/01/21~2014/01/30

黄金町高架下スタジオ・サイトAギャラリー[神奈川県]

池田拓馬、小林孝一郎、坂裕子、山根一晃という30歳前後の4人展。このうち池田と小林は知ってるが、以前見た作品ほどのインパクトはなかった。坂はさまざまな色彩の糸を使った平面と立体の刺繍作品で、フェミニンな志向があるのかもしれないが、いずれも余った糸が何十本も垂れて滴り落ちる絵具を想起させる点で絵画的だ。山根はアメリカの消費文化に触発されて、価値あるものと無価値なものの境界を曖昧にしようとしている。たとえば1ドル紙幣に9.99ドルのシールを貼って壁にピンで留めただけの作品とか見ると、類似品はありそうだけどついうれしくなってしまう。これ、いったいいくらで売るんだろう?

2014/01/28(火)(村田真)

日常/オフレコ

会期:2014/01/11~2014/01/30

神奈川芸術劇場・中スタジオ[神奈川県]

いつもは神奈川県民ホールギャラリーで開いてきた企画展が、なぜか今年はKAAT(神奈川芸術劇場)でやることに。そもそも神奈川県民ホールとKAATって同じ県がやってるのに、こんな近くにつくっちゃってどうすんだ? って大きなお世話ですね。いま調べたら、県民ホールが改修工事で休館中のためKAATを借りたってことらしい。県民ホールのギャラリーもだだっ広いだけで使いにくそうだが、こちらはパフォーミングアーツ用のがらんとしたスタジオだけにもっと使いにくかったと思う。裏返せばチャレンジャブルな空間ともいえるのだが。出品作家は、グランドピアノの表面を削った青田真也、天井から数十枚のドアを吊り下げて開閉した安藤由佳子、黒い日本画を立方体に立てた梶岡俊幸、被災したカマボコ工場のアニメを流す佐藤雅晴、磁気テープを球状に巻いて天体のように見立てた八木良太の5人。作品はそれぞれ力作ながら、間仕切りもないのに各作家のテリトリーが守られていてケンカがないし、相乗効果も感じられなかった。もっと火花を散らせてほしかったなあ。

2014/01/28(火)(村田真)

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みっける ビジターセンターヨコハマ

会期:2014/01/18~2014/02/02

象の鼻テラス[神奈川県]

約40人のアーティストが横浜の街を1日歩きながらそれぞれ風景を1,000枚撮影し、それを短編映像にして発表している。師範=ディレクターはアーティストの北川貴好。作品はコマ撮りなので退屈な映画よりよっぽどおもしろいけど、映像がパカパカ変化するため見ていて疲れる。その点、タイのトーラップ・ラープジャロエンスックは画面が左右で2分割されるように撮影しているので統一感があり、見ていて疲れない。というより、彼の絵画作品と同じく世界を平面としてとらえた秀逸な映像作品になっている。でもこの展覧会でおもしろかったのは個々の作品より、展示方法だ。会場の象の鼻テラスはカフェ兼用で作品展示には向いてないため、会場内に段ボールなどでチープな小屋をいくつか建て、そのなかで上映したのだ。なかには円柱の並ぶ大倉山記念館の威容を模したショボリッパ(ショボイ+リッパ)なハウスもあり、おしゃれなテラス内でホームレスの気分に浸りながら映像を楽しめる趣向となっている。

2014/01/28(火)(村田真)

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