artscapeレビュー
パウル・クレー展/「路上──On the Road」展
2011年07月15日号
東京国立近代美術館[東京都]
会期:2011/05/31~2011/07/31(パウル・クレー展)/2011/05/17~2011/07/31(「路上──On the Road」展)
油彩転写、回転、切断、再構成、両面など、カテゴリーごとに、作品制作の方法論を示す展示のスタイルは、レンゾ・ピアノの設計による、ベルンのパウル・クレー・センターで見た常設を踏襲したものか(実際、多くの作品がここから貸し出されている)。クレーにとっての部分と全体の関係は、通常の画家とかなり異なることがうかがえて興味深い。西澤徹夫建築事務所による会場デザインもおもしろかったが、来場者が多過ぎて、ゆっくり空間を体験できなかったのは残念だった。
常設の特集展示「路上──On the Road」は、ともにNYの交差点を撮影した宮本隆司《the crossing》や奈良原一高《ブロードウェイ》など、都市観察や表象の手法がいろいろと並んでいた。ルシェーの『サンセット・ストリップ沿いのすべての建物』や木村荘八の『アルバム・銀座八丁』の超横長の連続写真を意識した冊子が前衛的だった。
2011/06/26(日)(五十嵐太郎)