2022年10月01日号
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artscapeレビュー

吉野辰海 展

2011年07月15日号

会期:2011/06/20~2011/07/02

ギャラリー58[東京都]

切断されたブタ(の剥製)の断面がハムになっていたり(吉村益信)、巨大な金属の耳ばかりつくったり(三木富雄)。ネオダダの連中には身体をモチーフにしたグロテスクな作品が多いが、なかでもひときわグロテスクで意味不明なのが吉野辰海の犬だ。今回ますます迷走度を高め、顔は犬だが後頭部はゾウ(反対にゾウが顔で後頭部が犬というのもある)、しかも皮が剥がれて濃いピンク色をして、身体は裸の少女というワケのわからないものをつくっている。これを「抑圧された動物的本能の側からの合理主義的思潮に対する意趣返し、もしくは肉体や情念の側からの主知主義的モダニズム美術に対する逆襲」(三田晴夫)と読む者もいて、なるほどなあと思う一方で、そんな深読みは逆に作品を矮小化するのではと思ったりもする。だってこんなにワケのわからないものをつくれるだけで尊敬しちゃうもん。ならば好きかと問われればノーといわざるをえないが。

2011/06/25(土)(村田真)

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