artscapeレビュー
木版画コンテンポラリー
2011年07月15日号
会期:2011/06/07~2011/06/19
ギャラリーモーニング[京都府]
石川丘子、グドラ・ペータース、田村洋子、本田このみ、三上景子ら5名による版画のグループ展。石川丘子は最近知ったばかりの作家なのだが、水彩木版の色彩と紙の風合い、描かれた川や山の風景の輪郭が曖昧に溶け合うような作風が美しく印象に残る。どこか懐かしさを感じさせる日常的なモチーフや色に作家のマニアックな趣向もうかがえる本田このみの《絶滅危惧物》というシリーズもユニーク。色の重なり、削られた線からうかがえる彫刻刀のリズムやピッチ、予期せぬシミなど、版画のさまざまな要素や一枚ごとに表われるそれぞれの表情は見比べるのも面白い。版画の展覧会はこうして長居をしてしまう。
2011/06/17(金)(酒井千穂)