2022年10月01日号
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artscapeレビュー

名和晃平──シンセシス展

2011年07月15日号

会期:2011/06/11~2011/08/28

東京都現代美術館[東京都]

これはすごい。現代美術館の巨大な1フロアを作品で埋め尽くしている! そんなことで驚いていてはいけないのだが、しかし30代なかばで、しかも「セル(Cell)」というひとつのコンセプトでこれだけの仕事を見せられるのはやはり驚きだ。プリズムシートを貼った透明の箱に動物の剥製を入れた「プリズム」をはじめ、鹿の剥製を透明の球体でびっしり覆った「ビーズ」、人間や動物の全身像を解像度の異なる多面体で表わし、ズラして重ねた「ポリゴン」、おもちゃや日用品に発砲ポリウレタンの霧を吹きつけて表面をモコモコにした「ヴィラス」、シリコンオイルのプールに規則正しく泡を発生させる「リキッド」、そして圧巻は球体から発展させた高さ15mの巨大彫刻のパーツを並べた「マニフォールド」まで、「セル」を核に2次元(表面)と3次元(彫刻)を往還しながら立体、平面、映像などに展開してきた作品群は、見る者に知的な刺激を与えてやまない。が、物質の根源に迫ろうとするせいか作品に色彩がほとんどなく、また素材も制作方法もきわめて人工的なので(手の痕跡が薄い)、どこか遠い世界のデザイン展を見せられているようなよそよそしさを感じさせるのも事実。まあそれも含めておもしろいのだが。会場を一巡して最後の部屋に作品解説の紙が置いてあり、それを見ながらもう一巡するというアイディアもいい。

2011/06/16(木)(村田真)

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