artscapeレビュー
松本央:Beast Attack !
2011年07月15日号
会期:2011/06/01~2011/07/08
BAMI gallery[京都府]
一貫して自画像を描いてきた松本央。前回の個展を見逃してしまったのを今更悔やんだが、この間、彼にどんな変化があったのだろうか。今展での松本の自画像には、「人間の野獣化」という資本主義や市場原理主義の経済システムにおける社会と個人の生活をテーマにしたこれまでにない強いメッセージが表わされていた。ダ・ヴィンチの《最後の晩餐》のパロディ《最初の晩餐》をはじめ、誰もが知るファストフードが並ぶテーブルを前にした《The Ultimate Meal》、フライドポテトやジュースの容器をそこらじゅうに散らかして路上にしゃがみ込む《Encounter》など、わかりやす過ぎるほどベタなイメージの皮肉だが、それらの自画像の表情はどれも強烈で不気味だ。描き続けていればテクニックが上達するのは当然なのかもしれないが今回はそこに貫禄も感じた。これからも楽しみな作家だ。
2011/06/29(水)(酒井千穂)