2022年10月01日号
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artscapeレビュー

新incubation On a Knife Edge──二つの向こう岸

2011年07月15日号

会期:2011/05/31~2011/07/10

京都芸術センター[京都府]

若手とベテラン作家の表現を二つの個展として同時に紹介するシリーズ「新incubation」。3回目の今回は、松井智惠とHyon Gyon(ヒョンギョン)が展示を行なった。松井は近年、シリーズで発表している映像《HEIDI(ハイジ)》の新作を3点。Hyon Gyonは強烈な色彩と描き込みの迫力が印象的な平面作品、映像インスタレーションなどを展開。元小学校である会場の手洗い場や教室などを背景にした松井の新作映像《HEIDI51》は、学校という場所を懐かしむ密やかな喜びと同時に、時の経過を自覚させるような追憶の哀愁と現実の空しさも帯びている。韓国の巫俗信仰であり災いを払うという儀式「クッ」をモチーフにしたHyon Gyonの作品は、その儀式が映し出されるスクリーンの背面のパネルにたくさんの包丁が刺さっていたり、暴力的なイメージも強列で松井作品と対極にあるような印象。しかし女性ならではの感覚的な知覚や経験から発せられる表現の、自己と他者、生きる時間をめぐる観察はどちらも鋭く心に残る。

2011/05/31(火)、2011/06/27(月)(酒井千穂)

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