2019年09月15日号
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artscapeレビュー

ART OSAKA 2012

2012年08月15日号

会期:2012/07/06~2012/07/08

ホテルグランヴィア大阪 26階[大阪府]

2002年から開催されているアートフェア「ART OSAKA」。10回目の今回は約50のギャラリーが参加。今年もホテルの1フロアを使って各客室にてそれぞれのギャラリーが作品を展示、販売するスタイル。毎回のことながら今回訪れたときも多くの来場者で賑わっていた。出展ギャラリーの数も多いぶん、はじめて見る作家の作品など、新たな出会いが楽しめる機会でもあるのだが、なにしろホテルの客室での作品展示。どちらかというと、あまりゆっくりと作品を見たり作家やギャラリストと会話を楽しむ雰囲気でもない。次々に入室する人々でそれぞれの展示室は渋滞状態にもなりやすく、必然的に、混み合ってくるとそこを出て隣の展示室へ移動、混み合ってきたらまた隣へという流れになる。ホテルでのアートフェアとはそのようなものなのかもしれないが、できれば来場者がもっとゆったりと過ごせるような工夫や配慮があると嬉しい。しかし今回、ホテル客室という制約の多い空間を活かし、アーティストの作品世界を魅力的に紹介している展示室にもいくつか出会えた。大阪のギャラリーほそかわの6016号室は、京都市立芸術大学博士課程に在籍する西山裕希子によるインスタレーション空間。西山がこれまでの発表で度々キーワードとしてきた鏡、屋内空間、女性像、そして染色技法を用いた表現が、どれも違和感なく緩やかにイメージの脈絡をつくり、作家の世界観へと導いていくような美しい構成だった。また、現在、茨城を活動拠点としている片口直樹の最近作の絵画が展示されていた金沢のインフォーム・ギャラリーの6108号室も作家の制作テーマや画風の変遷もうかがえる濃厚な作品空間で記憶に残る。ほかにもいくつかあったが、多数のギャラリーや人々、多様な作品が一堂に会する場だからこそ、ただ陳列したというのではない展示が見たいし、そのような出会いの喜びは大きい。


6016号室(ギャラリーほそかわ、大阪)。西山裕希子のインスタレーション(一部)
6108号室(インフォーム・ギャラリー、金沢)。片口直樹作品

2012/07/08(日)(酒井千穂)

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