2019年09月15日号
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artscapeレビュー

「隠喩としての宇宙」展──The Cosmos as Metaphor

2012年08月15日号

会期:2012/07/20~2012/09/01

ホテルアンテルーム京都[京都府]

ホテルアンテルーム京都と、タカ・イシイギャラリー京都の二会場で開催されている展覧会。3.11の東日本大震災や原発問題以降、多くの人が感じている人間と自然、文明と自然の関係についての再検証の必要を、地球、さらには宇宙の規模で考えるということや、ウェブ環境やネットワークの発達でより身近に感じられるようになった多次元的な時空間のイメージ「隠喩としての宇宙」をテーマに、12名のアーティストが作品を発表している。企画は椿玲子(森美術館アシスタント・キュレーター)。ホテルのロビーやエントランスホール、ラウンジスペースなどに作品が展示されていたこの第二会場の出品作家は、磯谷博史、梅沢和木、大舩真言、土屋信子、名和晃平、宮永亮、矢津吉隆、山下耕平の8名。矢津吉隆は4点の作品を発表していたが3D立体映像技術を使った大喜多智裕との共作《Umbra》が特に凄い。専用の3Dメガネをかけてプロジェクションされた映像を視聴するこの作品は、映像の煙や火、木の枝などがまるで展示空間に浮遊して見える。自分が動くと映像も合わせて近づいて見えたり離れて見えたりするからなお面白いのだが、だんだん、神秘的な現象を見ている感覚にもなっていくから不思議。映し出されるイメージと音のリズムが見る側の記憶を刺激して、新たなるイメージを誘発する宮永亮の映像作品《scales(Blir-ray Disc version)》、外光によって色の表情が変化して見える大舩真言の《VOID-meteoron》《VOID f》も見飽きない。廊下のつきあたりに展示してあった磯谷博史の《Land》は、作家が1000日間履いた靴を用いた写真のインスタレーション。これも物語の想像を掻き立てられる。本展のタイトルはどうも取っつき難い印象なのだが、出品作家の作品に惹きつけられるものが多く、魅力的な会場だった。会期は長いのでもう一度見に行きたい。


左=展示作品。大舩真言《eternal#5》
右=ホテルアンテルーム京都での会場風景

2012/07/20(金)(酒井千穂)

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