2019年07月15日号
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artscapeレビュー

清水裕貴「ホワイトサンズ」

2012年08月15日号

会期:2012/06/25~2012/07/12

ガーディアン・ガーデン[東京都]

リクルートが主催する第5回写真「1_WALL」展(2011年9月20日~10月13日)でグランプリを受賞した清水裕貴の個展である。とても可能性を感じる作家だと思う。注目すべきなのは、1点1点の作品に、それに対応するテキストが付されていること。しかもそれが単なる添え物ではなく、重要な意味を担っている。日本の写真家たちの多くは、どちらかと言えば言葉を潔癖に拒否するタイプが多い。純粋に写真だけで語ろうとする態度を、あながち否定すべきではないが、言葉と画像とを組み合わせて、その相乗効果でより広がりのある世界を創出していくようなつくり手が、もっと増えてもいいのではないだろうか。
ただ、動物園や水族館、さらに「ニューメキシコ州の雪花石膏の純白の砂漠」(「ホワイトサンズ」)などで撮影された画像群、そして「先生」や「ペンギン」や「男の子と女の子」などが登場するテキストのどちらも、まだまだ中途半端で物足りない印象を受ける。写真に写っている事物も、文章で描写されるキャラクターも、どこか入れ替え可能な記号のようで、生身のリアリティを感じることができないのだ。1984年生まれということは、もうそろそろ若書きから脱してもいい年頃だ。写真と言葉の両方とも、さらに厳しく鍛え上げ、研ぎ澄ましていってほしい。もし彼女が一皮むければ、スケールの大きな、凄みのあるつくり手が出現することになりそうだ。

2012/07/11(水)(飯沢耕太郎)

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