2019年09月01日号
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artscapeレビュー

アートピクニックVol.2 呼吸する美術 breathing art

2012年08月15日号

会期:2012/06/09~2012/07/29

芦屋市立美術博物館[兵庫県]

日常生活にあふれている「美術」との出会いをテーマにした展覧会で、チラシには「現代美術の作家、美術教育を受けていない、または障がいがあるとされる表現者など様々なフィールドで活躍する作家11名の作品を紹介」と記されていた。アール・ブリュット(アウトサイダー・アート)とされる作品を多く展示紹介した内容。エントランスホールに入ると、まず美術家の山村幸則の映像作品《芦屋体操第一》に迎えられる。山村親子が全身タイツといういでたちで、芦屋の市木・クロマツに扮し緑色のポンポンを手に体操しているのだが、山村が芦屋の名所として選んだ十カ所を背景にしたこの映像の前で一緒に体操すると、この体操に因んだ絵はがき作品《芦屋深呼吸十景》のなかから好きなものがもらえるというオマケもあった。堀尾貞治が“1日1色”として長年さまざまなモノに色を塗ってきた《あたりまえのこと(色塗り)》111点が壁面いっぱいに展示された2階スペースは、窓ガラスに描かれた白いドローイング《あたりまえのこと(その場所で)》もダイナミックで館の外からも目立って見えた。展示室では絵の具のドットがキャンバスを埋め尽くした森本絵利の作品、拾った人形などで作ったカラフルな帽子をかぶって街を歩く“帽子おじさん”こと宮間英次郎が神戸を歩く記録映像、一見模様のような形状をB5判の紙に鉛筆で書き込んだ戸來(へらい)貴規の「日記」など、総数は多くはないが、それぞれの人たちの生活や自然な呼吸のリズムが伝わってくるような心地よさを感じる内容だった。


芦屋市立美術博物館の窓ガラスにドローイングした堀尾貞治《あたりまえのこと(その場で)》が外からも見える

2012/07/24(火)(酒井千穂)

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