2019年09月15日号
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artscapeレビュー

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012

2012年08月15日号

会期:2012/07/29~2012/09/17

越後妻有地域(新潟県十日町、津南町)[新潟県]

越後妻有アートトリエンナーレ2012のオープニング・ツアーに参加した。改めて街なかで場所の確保に苦労するあいちトリエンナーレに比べて、幾つもの小学校や空き家をまるごと会場に使える前提条件の違いを痛感する。例えば、新登場の土をテーマにしたもぐらの館と、中国作家の参加するアジア写真映像館、作品が増えた絵本と木の実の美術館は、いずれも廃校を活用している。建築系での新作は、みかんぐみの茅葺きの塔、オーストラリア・ハウスやアトリエワンによる展示施設、杉浦久子研のインスタレーションなどが登場した。またCIANでは、川俣正が故中原佑介の蔵書を入れる場として、本棚をバベルの塔のように積み、体育館をなかなか迫力のあるアーカイブ空間に変容させていた。今回からキナーレは現代美術館に変身し、中庭にボルタンスキーの大スペクタクル作品をドーンと置く。またbankart妻有では、各部屋に膨大な小作品が増殖したことを知る。第1回こそ見逃したが、2003年、2006年、2009年、2012年と四度目の訪問だった。ド派手な新築物件は減ったが、定期的にトリエンナーレを継続していくことで得られる蓄積が増え、ポスト過疎化のそれ自体の新しい歴史を刻みはじめていることがよくわかる。

写真:左上=みかんぐみ+《下条茅葺きの塔》、右上=オーストラリア・ハウス、左中=アトリエ・ワン+東京工業大学塚本研究室《船の家》、右中=杉浦久子+杉浦友哉+昭和女子大学杉浦ゼミ《山ノウチ》、左下=川俣、右下=クリスチャン・ボルタンスキー《No Man's Land》

2012/07/28(土)・29(日)(五十嵐太郎)

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