2019年10月15日号
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artscapeレビュー

水と土の芸術祭2012

2012年08月15日号

会期:2012/07/14~2012/12/24

新潟市内各所[新潟県]

2009年に続き、第2回を迎える「水と土の芸術祭」。なんで同じ新潟県内で、先行する越後妻有の「大地の芸術祭」とカブるようなイベントをやるのかというと、もちろん第1回のディレクターが「大地の芸術祭」と同じ北川フラム氏だったからだが、では今回、北川氏が抜けて竹久侑+堀川久子+丹治嘉彦+佐藤哲夫の共同ディレクター制となった以上、いかに第1回との差異化を図るか、いいかえれば、どれだけ越後妻有色を抜いて独自色を発することができるかが見どころのひとつとなるはずだ。ともあれ、まずは今回の芸術祭の拠点となる万代島の旧水揚場へ。ここではカマボコ型の巨大空間に原口典之と大友良英×飴屋法水たちの大作インスタレーションが据えられ、隣の旧水産会館には宇梶静江、下道基行、タノタイガらの作品が各部屋に展示されている。注目すべきはやはり原口と大友×飴屋たちのインスタレーションだ。原口は天井近くに数本のパイプを渡してそこから大量の雨を降らせるという作品を披露。オイルプールや目の前の運河から汲んだ海水プールもあったが、このシャワーだけで十分だ。大友×飴屋は、廃材を集めてあたかも津波の被害に遭ったかのような廃墟を組み立て、脇に数百足もの古靴を置いた。どちらも水の怖さを感じさせる作品だ。一方、その奥の部屋で上映していた吉原悠博の映像は、信濃川を河口から源流までさかのぼりながら風景を撮ったものだが、その映像の美しいこと。旧水産会館では、部屋の床と天井を貫いて水先櫓を建てたタノタイガが健闘。しかしこの万代島の会場でもっとも感心したのは、端っこに建っていたプレハブ小屋を大改造したwah documentの《おもしろ半分製作所》。内部は迷路状に入り組み、2階建てなのに3階にも4階にも感じられるマジックハウスなのだ。午後2時からバスツアーで遠方の作品鑑賞に出発。3年前のインスタレーションを再現したアン・グラハムをはじめ、白砂糖で描いた大画面をお寺の屋根裏で公開した佐々木愛、民家の各部屋にドローイングを飾ったイリーナ・ザトゥロフスカヤ、重要文化財の大邸宅に「異人」シリーズを展示した石川直樹などを見て回ったが、いちばん楽しかったのは西野達のインスタレーション。1軒の住宅の天井から上を取っ払い、周囲に回廊を設けて上から各部屋を見下ろせるようにしている。住宅にはだれか(ボランティア)が住んでいるので、観客は他人の生活をのぞき見ることになる。wahにしろ西野にしろ「水」とも「土」とも直接関係がない。それがいいのか、それでいいのか?

2012/07/13(金)(村田真)

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