2019年09月15日号
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artscapeレビュー

海老優子 展「鳥が鳴いたら」

2012年08月15日号

会期:2012/07/03~2012/07/15

ギャラリー モーニング[京都府]

海老優子の描く風景のイメージは、どちらかというと明るいものではなく、どんよりと重たい雲に覆われた空や鬱蒼と木々が生茂る薄暗い森を思わせる。どれにもコンクリートの建物ような無機質な構造物が描かれているのだが、いくつかは能舞台を想起させるもので物語性を感じる。構造物の縁や周囲を植物の緑が覆っているそれらの情景の印象は静謐だが、同時に、こころもとない雰囲気に気持ちが引き摺られ、振り返って再び見たくなるような魅力があった。《鳥が鳴いたら》《最後の鳥が鳴いた後》《もとの場所》などタイトルも、作家の内面に存在する特別な場所への想像を掻き立てる。構図、モチーフ、色彩、筆のタッチ、油絵の具の塗り方など、どの要素にも独特の個性が感じられる。また次の発表が気になる作家。

2012/07/15(日)(酒井千穂)

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