2019年09月15日号
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artscapeレビュー

「モバイルハウスのつくりかた」イベント トーク2「坂口恭平とは何者か?」ゲスト:五十嵐太郎、本田孝義

2012年08月15日号

会期:2012/07/15

渋谷ユーロスペース[東京都]

渋谷のユーロスペースにて、本田孝義監督とトークを行なうために、彼の映画『モバイルハウスのつくりかた』を再び劇場で見る。坂口恭平のダンボールハウスをつくる防災ワークショップ、トークショー、多摩川のロビンソンクルーソーに指導を受けてつくるモバイルハウス、そして3.11以後のゼロセンターと独立国家論を撮影したドキュメントである。この映画がおもしろいのは、本や写真集ではわからない、坂口恭平という人間のふるまいやしゃべり方を映像でとらえているところ、また撮影中に3.11を迎え、彼の活動に「意味」が加わり、新しい始まりを記録したところだろう。トークで話題になったのは、3.11後、セルフビルドのバラックがほとんどなかったこと、もっとも半壊状態の家に住み続けたり、避難所内に自分の居場所を構築するさまはあったこと。そして昔、筆者が学生に「国家内国家を建設せよ」という無茶な設計課題を出したことも思い出した(参考文献は「吉里吉里人」など)。ともあれ、坂口恭平さんの出発点である反建築と、震災以降の新しい社会を「建築」する活動は、ともに完全なオリジナルではない。ただし、彼の人間力でほかよりも目立っていることが大きい。また1960年代によく語られていたことがいったん忘却された後、若い人には新鮮なものとして受容され、異なる文脈でよみがえっている。

2012/07/15(日)(五十嵐太郎)

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