artscapeレビュー

岡田裕子「No Dress Code」

2012年08月15日号

会期:2012/07/11~2012/08/11

ミヅマアートギャラリー[東京都]

壁には、表面に絵の描かれたゴワゴワの布が不定形なレリーフ状に展示されている。布はキャンバス地でブラジャーやストッキングなどをかたどっているようだ。表面に描かれているのはイクラとかゲロとか粒々、ドロドロのイメージ。また床にはパレット型のテーブルが置かれ、原色のナイフとフォークが2本ずつ並んでいる。そのナイフとフォークでなぞったらしき色の線がテーブル上に引かれ、どうやらナイフとフォークは絵具を固めて成型したものであることがわかる。キャンバス、パレット、絵具……ここにあるものはすべて絵画を成立させるための要素であり、それが衣や食といった人間の生に不可欠なものと結びついているのだ。いや衣といっても下着ばかりだし、その表面に描かれているイメージもドロドロとした流動的なものばかりだから、なにかもっと生理的なレベルで絵画をとらえ直そうとしているのかもしれない。

2012/07/19(木)(村田真)

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