2019年07月15日号
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artscapeレビュー

大英博物館──古代エジプト展

2012年08月15日号

会期:2012/07/07~2012/09/17

森アーツセンターギャラリー[東京都]

ロンドンオリンピック効果なのか、大英博物館が在庫一掃セール(?)の「古代エジプト展」。彩色彫刻、棺桶、装飾品などのほか、死後の世界のガイドブックともいうべき「死者の書」が初公開されている。全37メートルにおよぶこのパピルス文書にはヒエログリフや図形が描かれているのだが、もちろん内容はチンプンカンプン。内容がわからないから文字が絵に見えたり、絵が文字に見えたりしてくる。ていうか、まだ絵と文字が明確に分化していなかった時代なのかも。だいたいこうしたパピルス文書も、内外を絵文字で覆った棺桶も、実用物なのか芸術品なのかよくわからないし、当時の人たちもそんな区別はまだしてなかったに違いない。いやそもそも「死者の書」も棺桶も死んだ人のためにつくられたものだから、生と死の境界も未分化だったのかもしれない。古代エジプト美術(美術なのか?)にある種の不気味さを感じるのは、それらがなかば死の世界に属しているからだろう。

2012/07/06(金)(村田真)

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