artscapeレビュー

2011年10月15日号のレビュー/プレビュー

アルテシカ展:有手鹿──alte-shika

会期:2011/09/17~2011/09/25

旧中島邸白い家[京都府]

京都市内から車で1時間強、奈良に隣接する木津川市。この市の鹿背山(かせやま)という地区に住んでいる若者の創作グループ「アルテシカ」は、彫刻家の水島太郎、版画家の岡田裕樹、富永深智、鉄作家の中島和俊、陶芸家の福田藍というメンバーで、年齢はそれぞれ違うが全員が同じ地域で育った幼なじみだという。ほぼ1年に一度、合同の展覧会を開催してきた。今回の会場はメンバーのひとり、中島が自作した家(現在は空家)。壁に青いガラス瓶が埋め込まれていたり、ドアや窓の構造、金具などの造りも凝っていて、空間自体が個性的。展示作品は小さなものが多く、展覧会というよりもどちらかというとショップの雰囲気なのだが、それにしてもUターンでふるさとに帰ってきたほぼ同世代の若者たち、それも昔から近所の仲間であった作家たちが、毎年グループ展を開催しているというのは面白い。今年で5回目だという「アルテシカ」展、回を追うごとにその輪も広がるだろうか。

2011/09/19(月)(酒井千穂)

洋上のインテリア II

会期:2011/08/06~2011/11/27

日本郵船歴史博物館[神奈川県]

日本郵船歴史博物館の「洋上のインテリア II」展は、近代建築家が手がけた船の内装デザインを紹介する、意欲的な企画である。取り上げられるのは、中村順平、村野藤吾、吉武東里、吉田五十八、剣持デザイン研究所などだ。1929年に浅間丸の内装をイギリスの会社に依頼したことから国辱論争が勃発し、「現代日本様式」のインテリアの誕生につながっていくストーリーは実に興味深い。

2011/09/19(月)(五十嵐太郎)

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岡本信治郎 空襲25時

会期:2011/08/09~2011/09/19

渋谷区立松濤美術館[東京都]

松濤美術館の岡本信治郎「空襲25時」展を訪れる。彼は磯崎新と同世代だが、ゼロ年代に入り、東京空襲の記憶を銀ヤンマなどになぞらえ、巨大な連作として展開している。9.11を受けた作品群も制作されている。表面的にはドロドロせず、ポップでさえあるのだが、それがかえってクールに怖さをかきたてる。おそらく展示には使いにくいであろう白井晟一の湾曲した空間が、今回はむしろ効果的に活用され、宗教的な場になっていた。

2011/09/19(月)(五十嵐太郎)

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Visualizing Architectural Design Exhibition(VAD)国際建築イラストレーション展

会期:2011/09/17~2011/10/02

ポーラ ミュージアム アネックス[東京都]

UIA関連企画、ポーラミュージアムアネックスの国際建築イラストレーション展は、技術的にすぐれた大量のドローイングが紹介され、なかにはSF的な作品もある。が、ジャンル絵画というか、枠を突き抜ける異物はない。絵が巧いことは間違いないのだが、心をゆり動かすものではなく、アートとの違いを考えさせられる。

2011/09/19(月)(五十嵐太郎)

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第2回ヤング・アーキテクツ・プラザ「若手建築家による東日本大震災復興支援・建築デザイン」展

会期:2011/08/23~2011/09/22

オリエアート・ギャラリー[東京都]

オリエアート・ギャラリーの「若手建築家による東日本大震災復興支援・建築デザイン」展は、おおむね平地への洗練された高台案、傾斜地を生かした住宅配置、エネルギー系の提案に分類できる。この手の企画を見ると、なぜ現場を知る東北の建築家がいないのだろうかと、つい思ってしまう。

2011/09/21(水)(五十嵐太郎)

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