artscapeレビュー
2015年09月15日号のレビュー/プレビュー
富岡製糸場
柳澤孝彦《富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館》
西沢立衛《軽井沢千住博美術館》
堤清二・辻井喬 ふたつの目 オマージュ展 Vol.2
会期:2015/07/26~2015/11/23
セゾン現代美術館[長野県]
セゾン現代美術館へ。堤清二・辻井喬 ふたつの目 オマージュ展で、こんなに多くの本を出していたことを知る。コレクションは80年代を強烈に思い出させる。いまなら福武のベネッセや森ビルなのだろうが、ただ収集するのではなく、辻井として自ら作品について文章も書き、アーティストとの共作も行なうあたりがすごい。今回の美術館訪問は、菊竹清訓の建築が目的ではなく、名古屋市美で見た若林奮展で、彼がここの庭で作品を手がけたのを知ったからだ。正門、鉄橋、コールテン鋼の斜面など、背後にヴォリュームを感じさせる表層をつくり出しながら、いずれも巧みなランドスケープをつくり出している。彼以外の野外彫刻もあるが、全体として箱根の彫刻の森に比べて、大人の空間だ。
2015/08/12(水)(五十嵐太郎)
ZOER & VELVET展覧会「BLAS」
会期:2015/08/07~2015/08/29
カイカイキキギャラリー[東京都]
お盆の時期なのに開いている。さすが中小のギャラリーと違ってマネジメントがしっかりしてるなあ。ZoerとVelvetはフランスの若手グラフィティ・アーティストで、ギャラリーの壁3面にキャンバス布を張り、その上に描いている。高さ3メートル、全長20メートルくらいあるだろうか、ギャラリー史上最大の作品だそうで、1カ月間滞在しこの場で制作したという。タイトルの「BLAS」は“blasphemy(神への不敬、冒涜)”の略で、現在ヨーロッパで大きな問題になっている異教徒・異民族の移民・難民への差別といった社会問題をテーマにしたもの。地中海岸だろうか、海辺や難民キャンプのようなイメージをコラージュした風景が、軽快なタッチで描かれている。日本ではほとんど話題にならない社会的なテーマを取り上げるのも、たった1カ月でこれだけの超大作を仕上げるのも、グラフィティ・アーティストならではのこと。
2015/08/13(木)(村田真)