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台北 國立故宮博物院──北宋汝窯青磁水仙盆

2017年04月15日号

会期:2016/12/10~2017/03/26

大阪市立東洋陶磁美術館[大阪府]

故宮博物院が所蔵する北宋時代(960-1127)の汝窯(宮廷用の青磁を焼成した窯)による青磁水仙盆を紹介する展覧会。現在、世界中に残る汝窯の青磁は90点ほど、そのうち故宮博物院は21点を所蔵しているという。伝世品中の最高傑作とされてきた、海外初公開の《青磁無紋水仙盆》が展示品の目玉である。全く貫入がなく、「天青」と称されるグレーがかった淡い青系の釉色に、過不足も何の破綻もなく完成された形状。美しい、の一言に尽きる。汝窯青磁をことのほか愛した清朝の乾隆帝は、とくにこの作品を賞玩し、底部には自らの詩を彫らせている。今回の展示の妙は、上記目玉作品と並んで、大阪市立東洋陶磁美術館が所蔵する汝窯《青磁水仙盆》と、《青磁無紋水仙盆》を真似て清朝の景徳鎮窯で作製された水仙盆が併置されていること。これらが一同に集合し公開される機会はなかなかない。清朝宮廷が旧蔵していた青磁は同博物院に多数あり、そのどれもが元に置かれた場所まで辿ることができるほど。しかし北宋時代における「水仙盆」の用途は、いまだによくわかっていない。いったいどのように使われたのだろうかと、想像がふくらむ。[竹内有子]

2017/03/26(日)(SYNK)

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