artscapeレビュー
サバイバルファミリー
2017年04月15日号
矢口史靖監督『サバイバルファミリー』。突如、電気が消失し、機械音がない世界に変貌する。そこで日本人共同体の日常が緩やかに綻び、やがて取り返しがつかなくなっていく序盤の、不気味さは絶品だった。ただし、家族のみで九州に向かう中盤からはやや説教くさい。絶体絶命でのカタルシスも、あっと驚くのだけど、序盤からのトーンとは違う。もっとも、電気が消えるというワンシチュエーションの設定は、発明的である。
2017/03/26(日)(五十嵐太郎)