artscapeレビュー
シャセリオー展 19世紀フランス・ロマン主義の異才
2017年04月15日号
会期:2017/02/28~2017/05/28
国立西洋美術館[東京都]
西洋美術館はある時代のトップではなく、2番手3番手に焦点を当てるのがうまい。クロード・ロランがそうだったし、ラ・トゥールもホドラーもクラーナハもそうだ。シャセリオーもまさに2番手3番手の代表格(?)。彼の絵をひとことで形容するなら、新古典主義とロマン主義と象徴主義を足して3で割ったような。も少し近づいていうと、新古典主義やロマン主義からは2歩遅れ、象徴主義からは1歩先んじていたような。彼はアングル門下で古典主義を学び、ロマン主義に転じたものの、わずか37歳で死去。ラファエロ、カラヴァッジョ、ゴッホ、モディリアーニらと同じく早逝の画家だ。おもしろいのは、なんかギュスターヴ・モローに似た絵があるなと思ったら、その隣に本物のモロー作品があったりして、シャセリオーがモローに似ているのではなく、モローがシャセリオーに似ていることがわかるのだ。もう少し長生きしたら、さらにどのような展開が待っていただろう。
2017/03/16(木)(村田真)
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