artscapeレビュー
DAN FLAVIN
2017年04月15日号
会期:2017/02/01~2017/09/03
エスパス ルイ・ヴィトン 東京[東京都]
ダン・フレイヴィンの作品をこういう場所で見られるなんて想像もしなかったな。フレイヴィンは60年代から蛍光灯を使ったシンプルな作品で知られるミニマリズムのアーティスト。作品は、長さの異なる7、8本の白色蛍光灯を左右対称に並べた《V・タトリンのための“モニュメント”》4点を中心とする計7点。この《V・タトリンのための“モニュメント"》は、きわめてシンプルな構成ながら、その形状からビルや樹木や人間や、十字架さえも想起させずにはおかない。これは偶然だろうが、窓の外を見ると、ビルも木も人も、あまつさえ教会の十字架も目に入ってくるのだ。この内と外、現実とアートとの交感はじつに快い。
ところで、こんな場所で見られるとは思わなかったと最初に述べた理由は2つあって、ひとつはこんな「オシャレ」な場所でという意味。余分なものを排除したミニマルアートと、ファッションブランドのルイ・ヴィトン社が頭のなかで結びつかなかったのだ。でもそれを結びつけたのは、単なる蛍光灯をアート作品として認めて購入したLV財団の慧眼にほかならない。もうひとつは、この展示空間が南向きに大きく窓の開けたつくりになっているので、壁にとりつける発光作品など見るに耐えないのではないかと思ったからだ。たしかに使いにくそうではあるけれど、大きな仮設壁2面を設けて昼間でも見やすい展示になっている。これが夜間ならもっと見栄えがするに違いない。日が暮れてからもういちど行ってみたくなった。
2017/03/02(木)(村田真)