artscapeレビュー
東京フォト2010
2010年10月15日号
会期:2010/09/17~2010/09/20
昨年に続き第二回目の「東京フォト」が開催された。参加ギャラリーが30を超し、写真作品に特化したアートフェアという位置づけも、かなり明確になってきたようだ。観客もかなり入っているし、売り上げも全体としてみれば伸びている。2年目としてはまず成功といえるのではないだろうか。
写真作品をコンスタントに購入するコレクターの絶対数を増やすというのは、アート・ディーラーの永遠の課題のひとつだろう。日本の場合、1970年代からずっとそのことが模索されてきたにもかかわらず、最近までなかなか厳しい状況だった。それでも、今回の「東京フォト」を見ていると、写真作品のマーケットが広く認知されつつあることを感じる。ギャラリーやディーラーの側も、その動きに応えるように、作品をあまり大きくない、壁に掛けるのに適当なサイズに絞り込み、内容的にもあまり過激なものは避けるようになっている。顧客が安心して購入できる、評価の定まったマスター・ピースを中心に出品しているギャラリーも多かった。むろんそれは諸刃の剣で、当たり障りのない穏当な作品が整然と並んでいる様子を見ると、あまり面白味は感じない。昨年と比較しても、出品作品の均質化が急速に進みつつあるのがちょっと気がかりだ。
そんななかで、西野壮平の大画面のコラージュ作品をずらりと並べたエモンフォトギャラリー、イランの女性作家、ラハ・ラスティファードとヌーシャ・タヴァコリアンという新鮮なラインナップを選んだ東京画廊+BTAP、新進作家の春木麻衣子の作品だけで勝負をかけたTARO NASUなどの果敢な展示が目立っていた。「売れる」ことはむろん大事だが、こういうアートフェアはギャラリーの基本姿勢を推しはかる指標になることも否定できない。
2010/09/17(金)(飯沢耕太郎)