2019年08月01日号
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artscapeレビュー

未来は僕らの手の中

2010年10月15日号

会期:2010/09/06~2010/09/18

Oギャラリーeyes[大阪府]

上村亮太、タイテツヤ、田岡和也、西村正幸、森田麻祐子、成山亜衣、東邦フランチェスカという、世代も表現もさまざまなアーティストによって構成されたグループ展は同名のタイトルの歌があったのを思い出した。人口問題、環境汚染、貧困や自殺など、深刻な問題をそれぞれの国や社会、個人が抱えるなか、これからの未来に各作家が何を思い描き、展望するのかをテーマに2週にわたって開催された。森田は、これまでも絶滅危惧種とされる動物をその作品のモチーフにしてきた。今展では、森の風景が描かれたマグネットシートの画面に、マグネットのアムールトラや、その餌食となるノロジカのモチーフを配置したユニークな形態の作品を発表。森田作品特有のソフトな雰囲気と色彩が奇麗で、一見その危機に瀕する動物の深刻な状況には想像が及ばなそうな印象もあるが、それらの生息環境と食物連鎖の関係の移り変わりを示すそのユニークな展示は、むしろ見る者とのあいだにコミュニケーションをうながす要素が強く、手法としても興味深く感じた。小学生の頃に思い描いていた未来のイメージと、その頃、日々テレビで報道されていた社会問題の混沌としたリアルなイメージをアクリル絵の具で表現した田岡和也は、今展の出品者のなかでも若い作家だが父親でもある。自分の子どもが生まれてからは特に自分が幼少時に抱いていた未来や外の世界のイメージを思い起こすと語ってくれた。それぞれの作家の真摯なメッセージがうかがえる展示だが、どの作品も悲観に終わらない批評性と同時に美しさを併せもつ絵画で、ゆっくりと堪能した。

2010/09/11(土)(酒井千穂)

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