2019年08月01日号
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artscapeレビュー

秦雅則「虹色とエロの破壊衝動的な」

2010年10月15日号

会期:2010/09/28~2010/10/03

企画ギャラリー・明るい部屋[東京都]

1.白い部屋の窓の外には緑がある。中心の女性は笑っていない。
2.何かの会場のような場所で、浴衣姿の女性が案山子のように立っている。少しだけ笑っている?
3.水着姿の不細工がふりかえる。
4.変わった顔をしている少女。日差しの強いなか、何か言いたいかのような思わせぶり。
5.少女が裸になる意味はない。少しだけ笑っている。
…………
21.誰かの部屋で、誰も知らない少女を写真に撮った。
秦雅則の個展「虹色とエロの破壊衝動的な」に展示されていた21点の作品の、解説ペーパーの一部を抜粋してみた。笑っている、あるいは笑っていない女の子(おそらくエロ雑誌から切りぬかれた写真)が、「アイコラ」の手法で殺風景な部屋や戸外の光景に嵌め込まれている。眼の部分だけを、別の写真から移し替えたものもある。写真はフレームの下の方におさめられ、その上には二枚の色紙(虹の色?)が平行におかれている。色紙が入っていないフレームもある。
秦雅則がこのシリーズで観客に何を伝えようとしているのか、作品を見ても、解説を読んでもまったくといっていいほど理解できない。だが、このいじましい、こせこせした、卑屈とさえいえそうな光景が、いまの日本の若者たちを取りまいている性的な現実だということだけはわかる。彼の、地面に剥き出しの下腹部を擦り続けるような痛々しい営みは、何とも奇妙な場所にわれわれを連れていこうとしている。目をそむけたくても、なかなかそうはさせてくれない。

2010/09/30(木)(飯沢耕太郎)

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