artscapeレビュー

山西愛 展「ゾクッ(続)ドラマチックガレージ」

2010年10月15日号

会期:2010/09/22~2010/09/26

喫茶 雨林舎 2Fギャラリー[京都府]

JR二条駅近くにある町家づくりのカフェの二階にあるスペースが会場。オルタナティブスペースというのか、京都でも、カフェやショップに併設された展示スペースや、そのようなスペースでの発表が増えているように思う。この会場は空調も壁面や床、照明なども整備されていないので、展示には不向きなのだろうが、山西の作品の雰囲気や形態には似合っていた。洗濯物を干すように、対面する壁に渡した紐に、ドローイング作品がずらりと何列もクリップで留められていた。床には、山西手作りの小さな紙製の自動車が“駐車”する、“駐車場”のインスタレーション。訪れた人たちが車の色を塗るというワークショップの作品展示で、会期中に少しずつ“車”が増えていくというものだった。ストーリーを想像させるシュールなドローイングは、つかみどころのない浮遊感が魅力でもあるだが、それにしても展示間隔がとても狭く、窓から風が吹き込んでひらひらと作品が揺れるので、一つひとつをじっくりと見る距離や雰囲気ではなかったのがやや残念。しかし独自の言葉のセンスとユニークな世界観を持つ作家なので空間的な要素もふくめ、次の発表も楽しみにしている。

2010/09/26(日)(酒井千穂)

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