2020年08月01日号
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artscapeレビュー

バーネット・ニューマン

2010年10月15日号

会期:2010/09/04~2010/12/12

川村記念美術館[東京都]

待望された「ニューマン展」、といえるだろうか。目の端をくすぐるようなささやかなポップがもてはやされ、画面との一対一の対話を強いられる重厚長大な抽象が敬遠されて絶滅寸前のこの時代に、なにをいまさらという気がしないでもない……が、むしろそんな時代だからこそ「待望のニューマン」でなければならないはずだ。いや実際、向こうから拒絶してくるようなニューマンの無愛想な画面を相手に対話を試みるのはツライ。でもそのツラさを通り越すといろいろ見えてくるものがあるのも事実。たとえば、赤一色に塗られていると思ったら微妙なニュアンスがついていたとか、画面を縦断する垂直線(ジップ)にもあるリズムというか規則性があるとか。そんなどうでもいいようなことに気づき始めると、今度は「なぜ絵画は平らなのか」「なぜ画面は四角いのか」「なぜ額縁がないのか」「どこまで行けば絵画でなくなるのか」「つまるところ絵画とはなにか」といった、どうでもよくない根源的な疑問が次々に降りかかってくることになる。もちろん正解があるわけではなく、自分たちでそれぞれ納得のいく答えを見つけなくてはならないのだが、じつはそれこそが「ニューマン展」の効用なのではないか。絵画とじっくり向き合い、なんでもいいから言葉を紡ぎ出してみること。これは最近、疎んじられていることである。

2010/09/03(金)(村田真)

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