2020年03月15日号
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artscapeレビュー

「榮榮&映里 RongRong & inri」展

2010年10月15日号

会期:2010/09/25~2010/10/22

MEM[東京都]

大阪の現代美術ギャラリー、MEMが東京に移転してきた。恵比寿のNADiff a/p/a/r/tの2Fというなかなかいいロケーションなので、所属作家の森村泰昌、澤田知子らを含む今後の展示活動が大いに期待できそうだ。
移転第一弾として開催されたのが榮榮(RongRong)と映里(Inri)の二人展。2000年に中国に渡った横浜出身の映里(本名、鈴木映里)は、90年代から身体的なパフォーマンスを作品化していた榮榮とのコラボレーションを開始する。最初の頃は、彼らの愛、歓び、孤独や疎外感などを激しくぶつけあう感情の振幅の大きい作品が多かったのだが、2001年に結婚し、3人の子どもが生まれ、2007年には北京郊外の朝陽区草場地に三影堂攝影芸術中心(Three Shadows Photography Art Centre)を設立といった出来事を経て、彼らの作風も少しずつ変化していった。近作では妊娠中の映里や子どもたちを加えた記念写真的なポートレート、DMにも使われた二人の長い髪の毛を結びあわせ、編み込んだ後ろ姿の作品など、安らぎ、自信、信頼感などが前面に出てきているように見える。今年の5月~7月には深圳のヘーシャンニン美術館で、2000~2010年の代表作170点を展示する大規模な展覧会を実現し、ヨーロッパやアメリカなどでの評価も高まりつつある。
むろん、彼らの写真作家としての意欲が衰えたわけではない。生と表現との深い関わりを、緊密かつヴィヴィッドに投影してきた二人の作品は、これから先も大きく変化しつつ深化していくのだろう。やや意外なことだが、今回が彼らの日本での初個展になる。もう一回りスケールの大きな会場での展示もぜひ実現してもらいたいものだ。

2010/09/26(日)(飯沢耕太郎)

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