2019年08月01日号
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artscapeレビュー

軽い人たち 木内貴志/高須健市/中村協子/吉田周平

2010年10月15日号

会期:2010/09/06~2010/09/25

ギャラリーwks.[京都府]

木内貴志、高須健市、中村協子、吉田周平の4人によるグループ展。それぞれの作家の理知に富んだセンスや言葉あそびが発揮されていて痛快だった。黒いカンフースーツに身を包んだ人物の太極拳の動作を、連続した絵と言葉で解説する中村協子の一連のドローイングは、描写が細かいので至近距離で見ることに集中してしまうが、少し離れて全体を見渡すと絵巻物のような面白さとリズム感で全体的に楽譜のような美しさもある。動作の緩急をとらえる観察力と丁寧な描写が中村らしい。木内貴志の《O○ O》は、“POP“という言葉の二つのPをデジタル画像のモザイク処理のイメージでドットで描いた大きなパネル。一壁面を占拠するその存在感がすごいのだが、近づいてみると彩色やその仕上げに荒さはない。吉田周平の映像作品は視覚の記憶や感覚のズレに注目した視点が面白いのだが、モニタの設置位置や、映像の淡々とした流れなど、この展覧会のなかでは集中しづらい印象があり、ややもったいない気がした。個人的には、雑誌や絵本などの印刷物のベージを、一部分だけを残してすべてマジックペンで真っ黒に塗りつぶした(だけの)高須健市の作品が気に入った。例えば『ウォーリーをさがせ』は“ウォーリー”だけが塗り残されている。地味なのだが、雑誌などのピックアップはかなりユニークでその毒は強烈だ。一見、全体的には品を無視した笑いに覆われているようにも思うが、じっくりと見ていくと「軽い人たち」出品メンバーの繊細で生真面目なキャラクターがうかがえるのが好感がもてる展覧会でもあった。

2010/09/11(土)(酒井千穂)

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