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artscapeレビュー

隅田川──江戸が愛した風景

2010年10月15日号

会期:2010/09/22~2010/11/14

江戸東京博物館[東京都]

パリのセーヌ川にロンドンのテムズ川……に比べると、江戸・東京の隅田川は激しく見劣りがする。とくにぼくらの世代(50代)にとっては、隅田川=臭くて汚い川、という子どものころに染みついたイメージが記憶にこびりついて離れないからなあ。この展覧会は江戸時代の屏風絵から昭和初期の版画まで、隅田川を描いた絵を160点ほど集めたもの。北斎の《冨嶽三十六景》にも広重の《名所江戸百景》にも描かれているが、圧巻はチラシにも使われている橋本貞秀の《東都両国ばし夏景色》。花火見物のために両国橋に押し寄せた何万という群衆を米粒みたいに描いているのだ。ほかにも満員電車のようにたくさんの人々を乗せた橋の絵が何点かあるが、筆者不詳《文化四年八月富岡八幡宮祭礼永代橋崩壊の図》は、人の重みで橋が崩れ落ち、何百という人々が隅田川に飲み込まれていく大惨事を描いたもの。悲惨な絵なのにどこかユーモアすら感じさせるのは、お調子者の江戸ッ子をサラリと描いたひょうきんな絵柄ゆえだろう。

2010/09/21(火)(村田真)

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