artscapeレビュー
「Japanese Junction 2010」展
2010年10月15日号
会期:2010/09/13~2010/09/18
nanyodo N+(南洋堂書店 4F Gallery)[東京都]
海外の大学に留学している日本人建築学生による合同制作展。イギリス、スイス、フィンランド、オランダ、アメリカという5カ国、10大学の学生24人による作品展示。企画がまず面白い。留学に興味がある学生にとっては、それぞれの国や大学の特徴を見て取れるため有用だろう。過去に同じような展覧会はなかったように思う。キュレーションはイースト・ロンドン大学の学生、留目知明氏。さて、最終日のレビューの際に訪れて、作品のクオリティの高さにも驚かされたが、大学での教育環境が強く作品に現われていることにも驚かされた。むしろ、作品を見ればどこの国のどの大学の学生がつくったものかが見えてくるくらいである。いくつかの興味深い対立軸を見ることができた。プレゼンテーションが方法論化されているアメリカと、プレゼンテーションの分かりやすさよりも建築としての精度を追求するスイス、ダイアグラム化をさけるイースト・ロンドン大学と、ダイアグラム的抽象化のうまいオランダ、といったような。ほかにも多く見つけることができるだろう。つまり、ここでは海外の多様な建築の状況が、縮図として投影されているとも言える。海外における建築教育の一端を垣間見るためにも、ぜひ継続してほしい展覧会である。
2010/09/18(土)(松田達)