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2012年11月01日号のレビュー/プレビュー

プレビュー:龍野アートプロジェクト2012「刻の記憶」

会期:2012/11/16~2012/11/25

うすくち龍野醤油資料館周辺の醤油蔵ほか[兵庫県]

昨年11月に初めて開催され、好評を博した「龍野アートプロジェクト『刻の記憶』」が本年も開催される。会場となる龍野城周辺は、姫路駅からJR姫新線で約20分の本竜野駅から徒歩で行ける場所でありながら、そこだけタイムスリップしたかのような古い城下町だ。前回は、古い醤油蔵や茶室の空間に展開されたインスタレーションとともに、伝統建築が軒を連ねる街並みに魅了された現代美術ファンが続出した。
本年もまた、内外で活躍するアーティストたちが、「刻の記憶」のある空間を巧みに活かした展示を行なう。具体のメンバーとしても知られ、現在はフランスを拠点に国際的に活躍する松谷武判は、渡欧前の貴重な平面作品を一挙に公開するほか、ドキュメンタリー映像《MATSUTANI》も上映する。また、マドリードを拠点とし、幻想的なインスタレーションを行なう山口敏郎、繊細な作品で注目を浴びる今村遼佑、若手の角田広輔、佐藤文香、芝田知佳が醤油蔵などの伝統建築でインスタレーション等を手がける。さらに、前回に引き続き、今年もフランスのル・アーヴル/ルーアン美術学校から参加があり、ジェレミー・アンドレ、マリー・ヴァルト、犬丸暁が出品する。会期前と会期中には出品作家によるワークショップ、アーティストトーク、本展芸術監督・加須屋明子(京都市立芸術大学准教授)によるガイドツアーも行なわれる。[橋本啓子]


カウータ・ベクレンシ《無題》麹蔵、2011



松谷武判《作品ーK61》、1961

2012/11/01(木)(SYNK)

プレビュー:笠井叡×麿赤兒『ハヤサスラヒメ 速佐須良姫』、公開パフォーマンス「小林耕平×山形育弘(core of bells)」

[東京都]

今月は、F/T関連の公演に注目が集まると思いますので、このプレビューではあえてそれ以外をとりあげることにします(もろちん、アンチF/Tというわけではありません)。

今月の話題作と言えば、日本のダンスシーンを40年以上牽引し続けた笠井叡と麿赤兒がタッグを組む『ハヤサスラヒメ 速佐須良姫』(2012年11月29日~12月2日@世田谷パブリックシアター)だろう。土方巽が語った「踊りとは命がけで突っ立った死体である」の言葉のように、舞踏とは矛盾を抱えた、レトリカルなものであり、嘘、冗談、異常に見える生真面目さなどが際立ったとき、ある独特の力を漲らせるものである。初共演という2人のぶつかり合いからそうした力がスパークするのか、期待したい。

もうひとつ、面白そうな企画あればそこにCxOxBありといった感じで昨今大活躍中のcore of bells。「TRANS ARTS TOKYO」や「CE QUI ARRIVE 2012──これから起きるかもしれないこと」といったイベントへの出演にも注目したいが、彼らが継続的に行なってきた美術作家・小林耕平とのセッションも忘れてはならない。11月22日に山本現代で行なわれる個展「あなたの口は掃除機であり、ノズルを 手で持つことで並べ替え、電源に接続し、吸い込むことで語る」に関連した公開パフォーマンス「殺・人・兵・器」は、9月に東京国立近代美術館で行なわれた「14の夕べ」でのパフォーマンス同様、パフォーマンス研究者の伊藤亜紗がテキストを書き、その解釈のために小林制作の構築物が用意され、小林とcore of bellsの山形育弘が構築物をとおしたテキスト解釈に挑む。「14の夕べ」ではテーマはタイムマシンだったが、今回はさらに奇妙奇天烈なテーマが用意されるそうだ。

笠井叡×麿赤兒『ハヤサスラヒメ 速佐須良姫』 - Hayasasurahime - pv1 for pc

2012/11/01(木)(木村覚)

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