2021年11月15日号
次回12月1日更新予定

artscapeレビュー

2014年11月15日号のレビュー/プレビュー

《BEAM HOUSE》、《MISS HIROSHIMA》、《l'ombre de ange》

[広島県]

小川文象の作品を見学する。《BEAM HOUSE》(2009)はポストモダン住宅のリノベーションゆえに、構造的に変えられない部分を与件としながら、光と色の様々な効果を導入し、開放的な空間に変える処女作だった。一方、アーケード街に面する《MISS HIROSHIMA》(2012)は、フラットバーを斜めに交差させた籠のような外皮が構造体となり、角地の商業施設を包む。そしてインテリアの仕事となる《l'ombre de ange》(2012)は、「天使の影」という店名を意識し、光リングの影が映る白い洞窟のようなバーである。

2014/10/03(金)(五十嵐太郎)

ルイス・ガレー「マネリエス」

会期:2014/10/04~2014/10/05

京都芸術センター[京都府]

最後の体感約20分ぐらいに押し寄せたダイナミクスの波、間の取り方、観客への緊張感の与え方、editセンス、一瞬一瞬の変化すべてが輝いて見えるほどの、神がかった演出力に感動。

2014/10/04(土)(松永大地)

金氏徹平「四角い液体、メタリックなメモリー」

会期:2014/10/04~2014/11/03

京都芸術センター[京都府]

アクリル板や木材などの支持体へのペインティングやプリントが書き割りのように立てられている。これは過去にも彼の作品で見たことのある、迷いのない線で描かれた模様のようにも見えるもの(ステートメントにある「琳派」というキーワードも読み解く鍵と感じたが)で、そこにある物体が作品本体であり、鑑賞対象になるのだが、その作品と作品のある空間は、どこか余白だらけで、そこらじゅうから吹き込むすきま風のようなものをびゅんびゅんと感じるものだった。それは、近年、金氏が舞台美術を手がけていることに納得がいくような、入り込む余地がいっぱいあるという感覚に近い。会場では音楽ライブなども行なわれたようで、写真撮影も自由というのも、そういった意図のひとつだろうか。ギャラリー内で、手持ち無沙汰になるという不思議な感覚があった。作品自体のトーメイ度は極めて高い。

2014/10/04(土)(松永大地)

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大舩真言/アンヌ&パトリック・ポワリエ展「時の影」

会期:2014/10/05~2014/10/10

有斐斎 弘道館[京都府]

「ニュイ・ブランシュKYOTO 2014」関連企画。美しく管理された日本家屋と茶室にて、日の落ちた後に、靴を脱ぎ、畳に上がり、大舩氏の作品を正面に、正座でじっくり鑑賞。視界には湖らしき水面の線が浮かぶが、しだいに境界は曖昧になり、暗闇にじわりと溶けていくよう。見ている側が絵画に包み込まれる心地いい体験。

2014/10/04(土)(松永大地)

scene のつくりかた:牛島光太郎展

会期:2014/10/03~2014/10/19

ギャラリー・パルク[京都府]

2003年より牛島光太郎が発表してきた「モノ」と「言葉」による作品シリーズ《scene》。言葉(文字)を刺繍した布、収集したモノなどを組み合わせ、ありふれた日常や誰にでも起こりうる物語を想起させるこの一連の作品は、2008年の「scene-36」を最後に、今年、京都芸術センターで開催された「イマジネーション・スーパーハイウェイ」での「scene-37」、「scene-38」の発表まで約6年間、制作が途切れていた。今展は「scene-1」から2008年までに至る期間と、それから約6年の期間中に牛島が制作していた《scene》の習作などを主に展示したもの。会場は、マンガや小説の一場面を合わせた平面作品、日常品や拾ったものなどを会場で組み合わせたという「モノの断片を組み合わせた」作品、雑誌、新聞、映画などのワンシーンなどをもとに描いたドローイング、最新作3点などで構成されていた。まったく文脈の異なるモノや言葉の組み合わせによって観る者のイマジネーションを掻き立てていく牛島の作品、今回は特に今展で初めて見た小さなドローイングの数々にこころ惹かれた。海外文学の挿絵のようなユーモラスなそれらの絵は、虚構と現実の間にかかる靄のようにつかみどころがなく、余韻を残す言葉の刺繍作品ともまた異なる味わいと魅力があった。

2014/10/04(土)(酒井千穂)

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