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2014年11月15日号のレビュー/プレビュー

戦後日本住宅伝説──挑発する家・内省する家 関連プログラム オープニング鼎談「広島新世代建築家たちの視点」

会期:2014/10/04

広島市現代美術館[広島県]

「戦後日本住宅伝説」展の初日は、オープニング鼎談「広島新世代建築家たちの視点」を開催し、小川文象、土井一秀と、今回の展示作品に触れつつ、住宅の現在についてトークを行なう。未来を築こうとする小川と、街並みの文脈を意識する土井の違いが明快だった。打ち上げでは、三分一博志が手がけた市内のレストランに出かける。

2014/10/04(土)(五十嵐太郎)

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第9回ヒロシマ賞受賞記念 Doris Salcedo ドリス・サルセド展

会期:2014/07/19~2014/10/13

広島市現代美術館[広島県]

広島市現代美術館の第9回ヒロシマ賞受賞記念のドリス・サルセド展を見る。テートモダンやグッゲンハイム美術館での大型のプロジェクト紹介の次に、薔薇の花びらを縫いあわせた作品が床に展開する部屋が続く。そして下階に降りると、真ん中に土をはさみながら、上下に積んだテーブル群が出現する。これらが墓標のように並ぶインスタレーションが、全空間を埋め尽くす。小さな草は再生を意味するという。

2014/10/04(土)(五十嵐太郎)

《FLAP》、《県営吉島住宅3期》、《GOD BURGER HOUSE》

[広島県]

土井一秀の作品を見学する。《FLAP》(2012)は交通が多い前面道路に対して防御しつつ、光と風をとりこむ断面形状の住宅である。《県営吉島住宅3期》は、まだ現場の段階だったが、古い中層の県営住宅の建て替えに際して、高層のワンボリュームにまとめず、周辺環境のスケール感と調整しながら6つのボリュームに分配するプロジェクトだ。そして《GOD BURGER HOUSE》(2010)(現在は別店舗になっている)は、非対称の穴あきコンクリートブロックのユニットを回転させながら、曲面の壁をつくる飲食店である。

2014/10/05(日)(五十嵐太郎)

其阿弥美術館

[広島県]

ナフ・アーキテクトの中薗哲也が手がけた東広島の《其阿弥美術館》(2010)へ。アートを展示する歯科医の隣につくられたものである。不整形プランからコンクリートの壁が立ち上がり、それぞれの角に切れ目のような開口部を配置する。ガラスをコンクリートに打ち込む、放射状の光源も、壁に点在する。そして中心部の天井からは光の筒が落ちてくる。

2014/10/05(日)(五十嵐太郎)

坂町のアトリエ

[広島県]

竣工:1988年

最後は村上徹の手がけた《坂町のアトリエ》(1988)へ。山の公園の端部に位置し、そこから海を一望する絶妙のロケーションである。1/4の円弧の壁が描く輪郭と、直角二等辺三角形のコンクリートの壁の隙間にガラスの開口。自然を背景としたシンプルな幾何学の建築だ。今回の滞在は、改めて広島にキャラがたつ建築家が多いことを再認識する機会となった。

2014/10/05(日)(五十嵐太郎)

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