artscapeレビュー
2014年11月15日号のレビュー/プレビュー
TOKYO TRIBE
ラップ・ミュージカルはうまくはまっていたし、園子温節全開の暴れぶりで痛快だった。岩井俊二の音楽映画『スワロウテイル』における無国籍的な円都は、真面目に風呂敷を広げすぎて、後半から辛かったが、これはそもそもハチャメチャだし、一夜のストリート・ギャングの抗争にとどめており、最後まで架空の東京という世界観が崩れない。
2014/10/08(水)(五十嵐太郎)
建築文化週間2014 建築夜楽校「東京オリンピック2020から東京を考える」第2夜「オリンピック以後の東京」
会期:2014/10/09
建築会館ホール[東京都]
建築学会のシンポジウム「オリンピック以後の東京」にコメンテーターとして出席する。この回は藤村龍至が企画したもの。白井宏昌は、オリンピックにおける都市施設の歴史を振り返り、分散型の東京2020が未来モデルになりうるという。一方、為末大は、選手の目線から、健康で歩きたくなる街のヴィジョンを語る。そして市川宏雄は、グローバリズムの時代における生き残りの国家戦略として東京一極集中論を唱える。
2014/10/09(木)(五十嵐太郎)
沢渡朔「少女アリス」
会期:2014/10/10~2014/10/26
Fm(エフマイナー)[東京都]
沢渡朔の名作『少女アリス』(河出書房新社、1973年)が「スペシャル・エディション」として河出書房新社から刊行されることになった。西武百貨店での展覧会にあわせてイギリス各地に滞在し、3週間で6×6判のフィルム300本を撮り尽くしたという撮影のテンションの高さ、堀内誠一のデザインによる端正で典雅な写真集の造本は、いまだに語り草になっている。今回の「スペシャル・エディション」は、すべてその73年の写真集に未収録のアナザーカットから選ばれた写真で構成されていて、東京・恵比寿のギャラリー、Fmで展示されているのは、その「懐かしくも新しい」写真群から新たにプリントされた作品だ。
『少女アリス』の魅力は、むろん沢渡ののびやかなカメラワークの為せる業なのだが、それ以上に主役のアリスを演じきった8歳のモデル、サマンサによるところが大きい。今回の展覧会及び写真集では、そのサマンサのもうひとつの顔が見えてきているように感じる。つまり、イノセントな天使的な存在としてのアリスではなく、明らかにどこかおぞましく、淫らでもある「ダーク・アリス」が浮上してきているのだ。たしかに「少女」という、ひらひらと漂うようなフラジャイルな存在には、光と闇の両方の顔があるように思える。その二面性が『少女アリス』の撮影の過程で引き出されてくるわけで、そのスリリングな出現のドラマには心を揺さぶられるものがある。別な見方をすれば、今回の「スペシャル・エディション」の登場で、『少女アリス』は40年の時を隔ててようやく完成したといえるのではないだろうか。
なお本展は11月13日~21日に京都のWRIGHT商會三条店二階ギャラリーに巡回する。
2014/10/10(金)(飯沢耕太郎)
IN SITU-1
会期:2014/09/13~2015/01/04
エスパス ルイ・ヴィトン東京[東京都]
ルイ・ヴィトン表参道のエスパスにおいて、公開制作をするソ・ミンジョンの作品をめぐって、プレス向けのトークを行なう。今回はあいちトリエンナーレ2013のときのような歴史的な建築を実測して、それを1/1で再現し、破壊するタイプの作品ではなく、実在しない建物を設定し、東京における建物の存在感をテーマとしている。筆者のスーパーフラット論における東京のイメージなどが着想源になったという。ともあれ、まだ部材を切り出している段階だったが、解体と消滅に向けて、彼女の公開制作が続く。
2014/10/10(金)(五十嵐太郎)
春木麻衣子「みることについての展開図」
会期:2014/10/10~2014/11/08
TARO NASU[東京都]
TARO NASUギャラリーにて、写真家の春木麻衣子の展覧会「みることについての展開図」を見る。剥製を撮影した断片的なイメージを組み合わせた写真が、展開図のように、部屋に配置され、いわば多次元的な空間を出現させている。ほかに画面の中の人工植物の位置を組み換え、異なるイメージに変化させている写真もあった。
2014/10/10(金)(五十嵐太郎)