artscapeレビュー

2014年11月15日号のレビュー/プレビュー

いろいろ、そうそう─田中岑展

会期:2014/09/06~2014/11/03

川崎市市民ミュージアム 企画展示室2[神奈川県]

田中岑は川崎にアトリエをかまえていた画家。1970年代に胃潰瘍で入院してから室内画を描くようになり、それらの窓の表現が興味深い。オレンジの空間にぽっかりと開いた長方形の青。1990年代の扉シリーズも同様。黄色い光のなかに浮かぶ、台形の赤い扉。

2014/10/13(月)(五十嵐太郎)

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日清・日露戦争とメディア

会期:2014/10/04~2014/11/24

川崎市市民ミュージアム 企画展示室1[神奈川県]

「日清・日露戦争とメディア」展は、いかに視覚的に明治期の戦争が報道されたのかをたどるものだ。写真が本格的に活用される前であることから、まだ錦絵や漫画が戦意高揚に大きな影響を与えており、当然、それに画家たちも関わり、出版社は売れるコンテンツとして積極的に刊行していた。100年以上前の出来事だが、これからの日本と重ならないことを願う。

2014/10/13(月)(五十嵐太郎)

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本田忠敬写真展 クブレ通りの古い家

会期:2014/10/11~2014/10/13

納屋[神奈川県]

鎌倉駅近くのリノベーション・スペース「納屋」へ。もとは「扇屋質店」であり、2階の洋間、大き過ぎる扉、牛乳店時代の痕跡など、謎が多い大正末期の木造建築だ。お披露目に、本田忠敬の写真展「クブレ通りの古い家」と、この建物自体の写真展を開催し、旧金庫などを効果的に使う。それに佐野絵里子による住宅のスケッチが花を添える。


左:本田忠敬写真展展示風景
右:佐野絵里子によるスケッチ

2014/10/13(月)(五十嵐太郎)

日本国宝展

会期:2014/10/11~2014/12/14

東京国立博物館[東京都]

紀元前3000-2000年の土偶から18-19世紀の琉球の衣装まで100点以上の出展(うち半数以上は展示替え)。特別出品の正倉院宝物(国宝指定の対象外)を除いてすべて国宝というからスゴイ。てか、さすがに平安時代の仏画や絵巻物は年季入ってるだけにスゴイと思うけど、あとはどこがスゴイのかよくわからない。最後のほうにあった高さ5メートルを超す元興寺極楽坊五重小塔は、美術品ではなく建造物の国宝。なのに持ってきちゃったっていう意味でスゴイ。あ、もうひとつスゴイのがあった。《一字蓮台法華経 普賢菩薩勧発品》という平安時代のお経で、一文字一文字の下に蓮華が描かれているのだ。文字を蓮華の上に載せるというのは、当時それだけ言葉というものが実体感をともなっていたことの証だろう。スゴイというよりちょっとコワイ。ミュージアムショップでは、5体の土偶をかたどった「土偶ビスケット」とか、粒チョコのなかに縄文のヴィーナス型のチョコが埋もれてる「発掘チョコレート」とか、国宝を食っちゃうお土産も販売。

2014/10/14(火)(村田真)

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印刷と美術のあいだ──キヨッソーネとフォンタネージと明治の日本

会期:2014/10/18~2015/01/12

印刷博物館[東京都]

明治初期の日本の美術に大きな足跡を残したふたりの「お雇い外国人」、キヨッソーネとフォンタネージに焦点を当てた興味深い展覧会。ただし印刷博物館でやるので印刷(版画)がメインの展示になっている。キヨッソーネは紙幣印刷の技術を指導しに明治8(1875)年に来日、大蔵省に勤務し、エングレーヴィングによる精密な紙幣の原版制作と後進の指導に努めた。一方フォンタネージは翌9年に来日し、日本初の美術学校である工部美術学校の画学の教師に就任。この学校は文部省ではなく工部省の管轄だったことからもわかるように、実用的な技術者養成を目的としていた。実際には浅井忠、五姓田義松、小山正太郎、高橋源吉(由一の息子)ら黒田清輝以前の明治美術を担った画家を輩出したが、しかし生徒のなかには印刷局から派遣されて図学を学んだ人たちもいたという。フォンタネージは体調を崩してわずか2年で帰国したが、6年の任期をまっとうしていたらどこまで教え、生徒たちもどこまで伸びただろう。日本の近代美術は大きく変わっていたかもしれないな。展示は、キヨッソーネが来日前に手がけた金壱円券から、日本で制作した紙幣、切手、印紙、株券、大久保利通や木戸孝允、明治天皇像まで、またフォンタネージは、本人が描いた風景の写生と生徒の模写、フォンタネージがスイス亡命時代に手がけたリトグラフ、生徒たちのおもに印刷メディアに載った作品などさまざま。でもキヨッソーネはいいとして、このテーマでフォンタネージを持ってくるのはちょっと無理があるような。

2014/10/14(火)(村田真)

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2014年11月15日号の
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