2021年11月15日号
次回12月1日更新予定

artscapeレビュー

2014年11月15日号のレビュー/プレビュー

ウフィツィ美術館展──黄金のルネサンス ボッティチェリからブロンヅィーノまで

会期:2014/10/11~2014/12/14

東京都美術館[東京都]

15世紀のギルランダイオからペルジーノ、ボッティチェリ、16世紀のブロンヅィーノ、ヴァザーリまで、意地悪な言い方をすれば3大巨匠を欠いたルネサンス絵画展。まあ3大巨匠は昨年日本に来たし(もちろん代表作は来なかったけど)、それ以前と以後を見比べるにはいい機会だ。実際、初期の無表情な硬い人間像と、後期の動きと喜怒哀楽のある人物表現の違いは、まるで使用前・使用後のようだ。これはたんにスタイルの違いというだけでなく、初期のテンペラやフレスコ画と後期の油彩という画材の違いも大きいだろう。もうひとつ、額縁にも注目すると、初期は画面と一体化したものや、祭壇画のように額縁込みで作品と見なせるものが多かったのに、後期になると現在のタブローと同じく交換可能な額縁がつけられるようになる。絵画としての自立の一歩だ。

2014/10/10(金)(村田真)

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写真で恵比寿をめぐる旅(恵比寿文化祭2014)

会期:2014/10/11

恵比寿ガーデンプレイス・STUDIO38他[東京都]

毎年秋に、恵比寿一帯で開催されている恵比寿文化祭。今年も展覧会、イベント、パフォーマンスなど、盛りだくさんの催しが10月11日~13日にかけておこなわれた。その一環として、僕がコンダクターとなって恵比寿界隈の写真展会場を回る「写真で恵比寿をめぐる旅」という街歩きイベントが開催された。1995年に東京都写真美術館が恵比寿ガーデンプレイスに本格開館したのが呼び水となって、この地域には写真作品を展示するギャラリー、スペースが増えてきている。いまや恵比寿は「写真の街」といってもおかしくはないだろう。
今回は中川彰の「バウルを探して」展を開催中の恵比寿ガーデンプレイス・STUDIO38を皮切りに、POST、山小屋、NADiff a/p/a/r/t(MEM、G/P Gallery)、Earth & Salt、写真集食堂めぐたまを15人ほどで回った。各会場15~20分という短い時間だったし、他にも行きたい場所があったので決して充分とはいえないが、最初の試みとしてはまずまず成功だったのではないだろうか。山小屋の松本美枝子「すべて とても よい」(2011年にキューバを撮影した写真群)、Earth & Saltの滝口浩史「狭間_窓_」(家族の生死をテーマにした写真シリーズ。写真集『窓』がアメリカの出版社Little Big Manから刊行)など、クオリティの高い展示を、会場で写真家本人の解説で見ることができたのは、参加者にとってもとてもよい経験になったのではないかと思う。
ただ、次回はもう少し展覧会を絞り込んで、じっくり時間をかけて回った方がいいかもしれない。また、この企画は新宿や銀座など、他の地域でも実現可能だろう。拡大版の「写真で東京を巡る旅」もやれるといいと思う。

写真:松本美枝子「すべて とても よい」

2014/10/11(土)(飯沢耕太郎)

デュフィ展

会期:2014/10/09~2014/12/07

愛知県美術館[愛知県]

愛知県美のラウル・デュフィ展を見る。線画とは必ずしも一致しない、カラフルな色彩設計の方法が面白い。開口部の描き方において、窓学的にも、興味深い作品が幾つかある。以前、パリ市立近代美術館で見学した、万博時に制作された大きな壁画「電気の精」が、こちらでは描かれた群像について、詳しく解説されていた。常設展エリアの若手企画では、占部史人が展示室を大海と島々に見立てた作品を設置している。

2014/10/11(土)(五十嵐太郎)

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石元泰博写真展 この素晴らしき世界

会期:2014/10/12~2015/04/05

高知県立美術館 石元泰博展示室[高知県]

2012年に石元泰博が亡くなったあと、その遺品の数々は高知県立美術館に寄贈された。既に生前の2006年に「石元写真作品及び写真ネガフィルム等を高知県立美術館に収蔵し、作品目録を作成し、独自のコレクションとして、その整理、保存、展示などに努めることとする」という契約書がとり交わされていたのだという。その数は写真プリント約35,000枚。フィルム約15万枚、著書約5,000冊、他にカメラ一式、家具・調度品などにも及んでいる。あわせて、石元の著作権も高知県立美術館に移譲されることになった。
それを受けて、2013年に美術館内に石元泰博フォトセンターが開設され、常設の石元泰博展示室の改修工事が進められた。今回の「石元泰博写真展 この素晴らしき世界」は、そのオープニング記念展ということになる。
展示は3期(各期約30点)に分けられていて、その第1期にあたる今回は、インスティテュート・オブ・デザイン在学中の1948~52年にシカゴで撮影された「街」のシリーズから、2006年の「シブヤ、シブヤ」まで30点が展示された。石元の作品世界を過不足なく概観できるいい展覧会で、今後の展示も大いに期待できそうだ。また展示室内には、石元の自宅マンションの部屋を椅子や、テーブルごと移設したスペースが設けられており、愛用のカメラの展示なども含めて、彼の作品世界がどんな環境で形をとっていったのかが実感できるようになっていた。
石元泰博フォトセンターの今後の活動は、写真家の遺作・遺品をアーカイブとしてどのように保存・活用していくのかという、大事なモデルケースになると思う。その成果が実り多いものとなっていくことを期待したい。

2014/10/12(日)(飯沢耕太郎)

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「BRA-BA!2014」かわさきアートフェスティバル シンポジウム「建築レジェンドへの挑戦」

会期:2014/10/13

川崎市市民ミュージアム 映像ホール[神奈川県]

久しぶりに菊竹清訓が設計した川崎市市民ミュージアムへ。五十嵐×西澤徹夫×山中新太郎「建築レジェンドへの挑戦」のトークが開催された。まず五十嵐が美術館の歴史と現状をレビューした後、西澤と山中によって、四半世紀近くになるこの建物を今後どう使うか、また具体的な改築の提案が行なわれた。おそらく、更新の時期を迎えるために、クセのあるポストモダン建築のリノベーションは、これから重要なテーマになるだろう。川崎市市民ミュージアムでは、ブラーバという2日間のかわさきアートフェスティバルのイベントを開催中だった。演奏や演劇などで逍遥空間のアトリウムを積極的に活用したり、手前の広場に出店が登場したり。アプローチと建物の正面が別になっていることを解消する仕掛けである。この施設では、まだまだ活用できる場は多そうだ。


西澤徹夫と山中新太郎による改築案



川崎市民ミュージアムの吹抜け


2014/10/13(月)(五十嵐太郎)

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