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2015年05月15日号のレビュー/プレビュー

単位展─あれくらい それくらい どれくらい?

会期:2015/02/20~2015/05/31

21_21 DESIGN SIGHT[東京都]

21_21の「単位」展は、タイトルどおり、あらゆるものを計る基準をテーマにした企画だが、どこかの科学館で常設にすべき素晴らしい内容だ。これと類似した内容の展示はあると思うが、お堅い教科書的な内容ではなく、やはりいかにテーマを見せるかという展示のデザインが優れている。建築関係では、トラフが会場構成の監修を担当し、前回の展示に続き、大西麻貴+百田有希がコップを使うミニ建築で参加している。

2015/04/03(金)(五十嵐太郎)

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ルーヴル美術館展 日常を描く─風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄

会期:2015/02/21~2015/06/01

国立新美術館[東京都]

国立新美術館の「ルーヴル美術館」展は、いわゆる格が高い、正統派の歴史画や宗教画ではなく、日常を描くサブカルチャーとしての風俗画をピックアップした内容である。したがって、17世紀のオランダや18世紀のロココなどの作品が目立つ。室内画も多く、以前、研究室で絵画の中の窓を網羅的に調べた窓学のリサーチを思い出す。ちなみに、窓はおおむね、左側に描かれる。

2015/04/03(金)(五十嵐太郎)

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マグリット展

会期:2015/03/25~2015/06/29

国立新美術館[東京都]

「マグリット」展は、いまさらと思いつつ見に行ったが、1920年代の最初期の作品とポスターデザインの仕事、1940年代の印象派風とヤケクソなスタイルが紹介されており、いわゆるマグリット風でないものが含まれていて、彼の軌跡を楽しめた。ちなみに、一番面白いのは、キャプションで紹介されていた、おのおのの絵に彼が書簡で記した説明文である。これは真面目な哲学なのか、ギャグなのか? とにかく、人を食ったような奇妙な文章で笑える。

2015/04/03(金)(五十嵐太郎)

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像形人間

会期:2015/03/31~2015/04/19

みうらじろうギャラリー[東京都]

木村了子、関本幸治、藤井健仁、松山賢による「人間像」の展示。手づくりの人形や小道具を使ってあたかも肖像写真のような作品をつくる関本は、写真作品のほかに撮影に用いた椅子も出品。ほかの作品に比べると破格の安さだが、椅子だよ。鉄板を叩いて有名人の顔にする藤井は、東電のトップだった勝俣某の顔を彫刻した《T.K. 鉄面皮》を出している。だいたい彼のつくる顔彫刻は悪人面が多いが(タイトルが「鉄面皮」だし)、こいつの顔はとりわけずる賢そう。もちろん見る側の思い込みも反映されてるのかもしれないが。T.K.本人は自分の顔がこんな「鉄面皮」になって人前にさらされてるなんて思ってもみないだろうなあ。

2015/04/03(金)(村田真)

村田峰紀「生PUNK」

会期:2015/03/14~2015/04/04

ギャラリー・ハシモト[東京都]

ボールペンによるドローイング。というとお手軽そうに聞こえるが、そんな生やさしいもんではない。ドローイングされたベニヤ板は表面がえぐられ、ささくれ立ち、穴が開き、原形をとどめないほど破壊されてるものもある。奥の暗室には液晶テレビが7台ほど置かれているが、これもすべてディスプレイがボールペンで引っ掻き回されて画面がはがれ、きれいな虹色の抽象パターンが表われている。わずかに「クレヨンしんちゃん」や報道番組の画像がかいま見えるのが無惨だ。「パフォーマンスの痕跡」としての作品はしばしば見かけるが、これほどストレートに行為が「痕跡」した例はめったに見ない。

2015/04/03(金)(村田真)

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