2021年09月15日号
次回10月1日更新予定

artscapeレビュー

2015年05月15日号のレビュー/プレビュー

アート・イン・タイム&スタイル ミッドタウン Vol. 14「豊嶋康子、友政麻理子」

会期:2015/02/28~2015/05/17

タイム&スタイル・ミッドタウン[東京都]

家具を中心に総合的な住空間を提案するタイム&スタイルのショールームで、その「タイム&スタイル」と「ショールーム」を採り込んだ作品を展示している。豊嶋康子は家具の製造工程で出る廃材を用いてパネル状の作品を出品。パネルの表面はまっさらだが、壁にやや角度をつけて掛けているため裏面が見え、角材が組木細工のように組まれているのがわかる。表はフラットで情報量が少なく、裏は複雑でつい凝視してしまうという、表裏の意味合いを反転させるような作品。のみならず、家具のなかに置かれるとほとんど目立たない作品なのに、家具の廃材を用いたため周囲の商品とのあいだに微妙な不協和音が聞こえてこないか。友政麻理子はこのショールームを撮った写真を出しているが、なぜか人物の一部に虹がかかっているように見える。友政は色物をまとわせたスタッフに手足を動かすよう指示し、それを撮影したもの。すばやく動いた跡が虹のように見えるのだ。店舗に虹を出現させる発想が妙。

2015/04/03(金)(村田真)

特集陳列 雛まつりと人形

会期:2015/02/21~2015/04/07

京都国立博物館[京都府]

春先、雛人形をかざる展覧会やイベントが各地で開催される。本展もそのひとつ。雛人形や御所人形、嵯峨人形、からくり人形など、京都国立博物館所蔵の人形25組による展覧会である。女の子の健やかな成長を祈念して人形をかざる行事として、雛まつりが日本各地に広がったのは江戸時代だといわれる。本展では、寛永雛、元禄雛、享保雛と時代を追って雛人形の変化をみてとることができる。
出品された雛人形のなかでもっとも目を引くのは、明治初期につくられた《御殿飾り雛》だろう。上段に設けられた内裏雛のすまう御殿では、侍女たちや大臣たち、囃子方たちが生き生きとした仕草や表情を見せ、下段では、箪笥や長持、御膳や重箱などの婚礼道具がにぎにぎしく並ぶ。その大仕掛けな構えと一つひとつの細々とした丹念な造りは、すでに子どもの愛でるものを超えて大人の享楽の域に達しているように思う。まるで、本物を縮尺した極小の別世界がそこに立ち現われたかのようである。そうかと思うと、高さが50センチにも及ぶ大きな雛人形《享保雛》もある。分厚い飾り畳の上にどっかりと座した二体の人形は、白く磨き上げられた顔に微かな笑みを浮かべ、きっちりとつくり込まれた衣装を身につけて異様なほどの存在感をただよわせている。
雛人形を展示したこの一室で、工芸品を鑑賞するというのとはまた別の体験をした気さえした。[平光睦子]

2015/04/03(金)(SYNK)

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ロボットレストラン

[東京都]

新宿のロボットレストランに行く。ざっと会場を見たところ、観客は9割以上が西洋人。アジア系が少しいて、日本人はわずかである。なるほど、ロボットとセクシーな女性という組み合わせで、テクノ(本当はローテクだが)・オリエンタリズム全開のエンターテイメントだ。てんこ盛りのコンテンツで、御輿や衣装などのデザインは、過剰装飾のお祭りバロック・テイスト、ヤンキー文化論的にも興味深い。細長い地下空間をフル活用する舞台と座席の異常に密接した関係も絶妙である。

2015/04/04(土)(五十嵐太郎)

DOOODLIN’

会期:2015/04/03~2015/04/12

Zeppブルーシアター六本木[東京都]

Zeppブルーシアター六本木で、WRECKING CREW ORCHESTRAの「DOOODLIN'」を見る。特にプロジェクションと光のダンスのシンクロが、どれくらいのものなのか、確認するのが目的だった。必殺技はショーの最初と最後のみに使われるが、効果は絶大で、人が瞬間移動するように見えたり、パラパラ漫画のように見えたり、さすがに見せ場である。

2015/04/04(土)(五十嵐太郎)

ふたたびの出会い 日韓近代美術家のまなざし──「朝鮮」で描く

会期:2015/04/04~2015/05/08

神奈川県立近代美術館葉山[神奈川県]

20世紀前半の日本の支配下にあった「朝鮮」の美術に焦点を当てた労作。当時は美術を指導するため多くの日本人画家が半島に渡ったため、在「朝鮮」日本人画家の作品が過半を占める。その日本人の作品は「朝鮮」の風俗をエキゾチックに描き出したものが多く、いわゆるオリエンタリズムといえるが、その日本人に学んだ韓国人の絵もオリエンタリズムに染まっていたりする。また在「朝鮮」日本人画家には知らない名前が多いと思ったら、戦後日本に引き上げてきた彼らは山口長男らわずかな例外を除いて不遇をかこったらしい。いわば差別していた側が差別される側に転換したのだ。さらに戦後半島が南北に分断されると、北へ向かう韓国人画家も出てきた。戦後来日(密航)して活動した後、北朝鮮に渡って消息を絶った良奎(チョ・ヨンギュ)もそうだ。の名はしばしば戦後の日本美術史に出てくるけど、作品をまとめて見るのは初めて。このように展示は第2次大戦で終わることなく戦後もしばらく続き、美術を軸にした日韓関係の複雑さをあらためて認識させられる。正直かなり疲れる展覧会だが、渡仏前の藤田嗣治の《朝鮮風景》、抽象以前の山口長男の風景画など珍しい作品も出ている。余談だが、カタログに寄せた李美那さんの「日本の近代美術には、韓国が直面してきた喪失感、矛盾、そして特に抵抗という要素に対応するものが弱い。(…中略…)韓国の美術家にくらべたときそれは、組織的・構造的な力を欠いており、意識/無意識を問わず支配者の目線に自らを置きがちな傾向があることは否めない」(「日韓近代美術──二重性を超えて」)との言葉にはグサッと来た。

2015/04/04(土)(村田真)

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